HOME11.CSR |政府 「持続可能な開発目標(SDGs)」の実施指針の中に、ESG債や社会貢献債を位置づけ。ESG債は「政府主導色」で市場の流れに逆行のリスク。社会貢献債はJICA債を明示(RIEF) |

政府 「持続可能な開発目標(SDGs)」の実施指針の中に、ESG債や社会貢献債を位置づけ。ESG債は「政府主導色」で市場の流れに逆行のリスク。社会貢献債はJICA債を明示(RIEF)

2016-12-22 23:06:47

SDGsキャプチャ

 

 政府は22日、持続可能な開発目標(SDGs)の実施指針を決定した。この中で、民間企業が公的課題の解決に貢献することの重要性を強調、民間の資金や技術を社会課題の解決に役立てるため、ESG債や社会貢献債等への取り組みを盛り込んだ。

 

 政府の実施指針は、SDGsの「2030年アジェンダ」を踏まえ、「持続可能で強靭、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」というビジョンを掲げた。

 

 これを受け、SDGsが示す17のゴールと169のターゲットのうち、日本が取り組む優先課題として次の8つのテーマをあげている。

 

 <People 人間>①あらゆる人々の活躍の推進②健康・長寿の達成<Prosperity 繁栄>③成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション④持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備<Planet 地球>⑤省、再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会⑥生物多様性、森林、海洋等の環境の保全<Peace 平和>⑦平和と安全・安心社会の実現<partnership パートナーシップ>⑧SDGs実施推進の体制と手段。

 

 これらの優先課題を推進するための体制の中で、「ステークホルダーとの連携」として民間企業の役割に言及、SDGsに取り組む先進企業の取り組みを奨励するとともに、さらなる連携の強化を図るとしている。こうした取り組みの具体例として、ESG債や社会貢献債等を取り上げている。

 

 ここでESG債はグリーンボンドを軸としたプロジェクトボンドを総称したものとみられる。社会貢献債は、国際協力機構(JICA)が本年9月に発行したソーシャルボンドを想定している。

 

 指針は、これらの分野での国際的な投資家の評価基準に対して、日本が遅れをとらないことが重要として、「環境づくりに向けた政府の施策を進め、民間企業の取り組みを後押しする」と政策主導の姿勢を示している。しかし、この点はグローバル基準でのグリーンボンド市場が急速に広がる中で、日本が政府主導のローカル基準をつくるのではとの懸念が、市場関係者の間で生じている。

 

 これらの基本姿勢を受けた、SDGsを達成する具体的施策では、ESG債については「持続可能な生産消費形態の確保」として、ESG投資の促進等による環境に配慮した事業活動の推進のための施策として位置づけている。

 

 一方、JICAなどによる社会貢献債は、国外の施策の資金動員策として、「JICA債の発行を通じて、国内の民間資金を成長市場である開発途上国のために動員する」と明確な位置づけが与えられている。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/dai2/gijisidai.html