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ネパールで風力発電の伝道師に 富士通を定年退職の横浜・桐原悦雄さん(東京新聞)

2017-04-04 12:24:57

nepalキャプチャ

 

 富士通を3月に定年退職した桐原悦雄さん(65)=横浜市戸塚区=が、電力の安定供給を目指し、ネパールで風力発電の普及に取り組んでいる。同国の自然などに魅せられ、役に立ちたいと思ったという。 (小形佳奈)

 

 桐原さんは栃木県内の工業高校を卒業後、富士通に入社。コンピューターの基本ソフト(OS)開発などを担ってきた。趣味は登山で、何度か訪れたネパールの自然や子どもたちの素朴さにひかれた。定年後は同国に貢献できればと、教育環境の整備に欠かせないインターネットの通信技術を学ぶため、二〇一一年から東京電機大(東京都足立区)の工学部第二部で学んだ。

 

 調べてみると、ネパールでは電力不足による停電がたびたび起こり、無電化地域もあったことから「まずは電力確保」と、自然エネルギーに着目した。三年生のとき、同学年に編入してきた発電設備会社社長の近藤豊嗣さん(65)に自らのビジョンを打ち明けると、「うちに開発途中の風力発電機がある」と近藤さん。還暦過ぎの二人は発電機の改良や同国での普及策などを熱く語り合った。

 

 昨年十二月、近藤さんが代表理事を務め、桐原さんも委員となっている一般社団法人「日本エネルギー設備保安推進協会」がネパール工科大学に風力発電機とソーラーパネルを寄贈し、共同研究に関する覚書も交わした。

 

 風力発電機は首都カトマンズ郊外にある同大のキャンパスに設置され、風量や発電量のデータを収集している。二月末に現地を訪れた際には問題なく動いていたという。桐原さんは「一年分のデータを取った上で、ネパールの風土に合った風力発電の仕組みを学生たちと研究したい」と話す。

 

 ネパール出身で、桐原さんたちと同大の橋渡しをした富士通関連会社勤務のマハラジャン・ナレスさん(44)によると、一五年四月の大地震を契機に、自然エネルギーへの関心が高まっているという。「ネパールでは若者が仕事が見つからないと国外へ出稼ぎに出ている。日本の優れた技術者が定年後にネパールの若者に技術を伝え、国内に雇用を生み出す取り組み」と期待している。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201704/CK2017040402000168.html