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途上国の貧困地域でのマイクログリッド、オフグリッドでの電力供給促進で、国連が新組織「MIA」発足。マイクロソフトとフェースブックが基本資金5000万㌦を提供(RIEF)

2017-04-06 18:28:15

MIAキャプチャ

 

  国連は途上国の貧困地帯への電力供給を推進する官民連携組織の「Microgrid Investment Accelerator(MIA)」を立ち上げた。2018年から20年の3年間で、5000万㌦(約52億5000万円)のシードマネーを投じて、民間資金の呼び水役を目指すという。資金提供メンバーには、フェースブックとマイクロソフトが参加した。

 

 MIAの設立は、今週、開催した「 U.N. Sustainable Energy For All Forum」において合意された。支援対象となるのは、インド、インドネシア、東アフリカなどで、エネルギーサービスへのアクセスが困難な貧困地域とする。パイロット事業をこの夏にもスタートする。

 

 支援体制は、資金提供パートナーとしてフェースブックと、マイクログリッドの2大IT企業が協賛し、資金を提供する。仕組みの設計・運営担当の形で、米国の再エネ支援のAllotrope Partnersが加わる。これに各地域でNGOや再エネ事業者等のビジネスパートナーが参加して、地域にあったマイクログリッド、オフグリッドなどのシステムを作り上げていく計画だ。

 

 MIAのCEOに就いたAlexia Kelly氏は「MIAはイノベーティブな金融とパートナーシップのモデルによって、途上国の貧困地帯がエネルギーへのアクセスと経済成長を達成するうえで必要なマイクログリッドや地域単位のオフグリッドシステムを、早期に展開するために必要な資金を市場から導入することを目指す」と述べ、官民金融が一体となる「ブレンデッド・ファイナンス」の実践スキームであることを強調している。

 

 安定的な電力にアクセスできない貧困地帯では、エネルギー源を各戸配分の子ディーゼルや灯油などに頼っている。その結果、発電に十分な資源を確保できていない。このため、経済成長が阻害され、当地域コミュニティは貧困のサイクルから脱することができない。

 

 そこでMIAは小水力やバイオエネルギーなど生態系に即したマイクログリッドや、オフグリッドなどの簡易なシステムを各地域に早期に導入することを目指す。電力を安定供給することで、地域の農業事業等に貢献するとともに、住民の生活環境を改善し、地域ぐるみで貧困のサイクルから脱して、経済成長に踏み出せるような転換を進めるとしている。

 

 具体的には、フェースブックやマイクロソフトの資金を元にしてMIAが贈与やローンの形でシードマネーを提供する。これに世界銀行などの国際開発銀行の公的な投融資資金を合わせ、民間資本が投資しやすい環境を整える。MIAはマイクログリッド等への投資に伴うデータ集積やリスクマネジメント等の分析を行い、安価で安定的で、環境負荷の少ない電力を提供する商業ビジネスとしての展開を促進する。

 

 マイクロソフトのEnergy Access, Affordable Access Initiatives 担当のKevin Connolly氏は「マイクロソフトは、地球上のすべての人々と社会が必要なエネルギーにアクセスできることに協力していきたい。MIAが大事なことは、単に各地域でのマイクログリッド事業に資金を供給することだけではなく、それを低コストで実現し、さらに生態系の保全を高める効果が期待できる点だ」と指摘している。

 

 MIAは事業推進に伴う各地域および開発するマイクログリッド技術等の情報を公開することで、投資家がマイクログリッド投資に伴うリスクとリターンの評価がよりしやすい環境を作り出し、マイクログリッド投資を促進していくとしている。事業デザインのために、世界中の専門家や実務家を集めたHgh-Lvel Advisory Committeeを組織している。

 

 国際再生エネルギー機関(IRENA)によると、地域単位のオフグリッドシステムを整備できれば、2030年までに電力にアクセスできない地域の50~60%の問題を解決できるという。国連が推進する「持続可能な開発目標(SDGs)」は、現行の電力網整備のペースを倍増させることを求めており、MIAの役割は重要性を増すとみられる。

http://seforallforum.org/sites/default/files/SEforALL%20Forum%20press%20release%20v2.pdf

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