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日本で初めて、機械式の波力発電装置の実証試験、伊豆七島の神津島沖で開始。三井造船、NEDOなどが共同実験。無限の「波のエネルギー」を電力に(RIEF)

2017-05-13 22:31:11

mitsuizousenキャプチャ

 

   三井造船は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、東京大学などとともに、日本で初めて、「機械式」の波力発電装置の実証試験を、伊豆七島の神津島沖で開始した。海面に浮かんだフロートが波の動きで上下運動するエネルギーを回転運動に変換して24時間、発電する。

 

 実証試験には、三井造船、NEDO、東大のほか、五洋建設なども参加する。三井とNEDOが2011年度から進めている「海洋エネルギー発電システム実証研究」の一環。現地での装置の施工を五洋建設が請負い、東大は海洋観測・趣味レーションを担当する。 実証試験は、運転制御方法の効果、荒天時の耐久性の確認などが目的で、夏頃まで実施する。


 装置は4月17日に、神津島の黒根沖で岸から800m、水深32mの地点に設置され、発電を開始した。装置は全長約13m、フロート直径2.7m、スパー(円柱部)直径1.0m、空中重量約10㌧。ポイントアブソーバー式とも呼ばれる方式で、海底にアンカーを設置して係留索を使って固定している。

 

 装置の発電可能能力は3.0kWだが、実証期間中の平均発電量は600Wを想定している。余った電力は装置に搭載している容量20kWhのリチウムイオン電池で蓄電し、発電量が低下した時のバックアップに使う。


 
 波力発電は、地球の表面の7割が海であることから、豊富かつ24時間発電が可能な「究極の自然エネルギー」として実用化が期待されている。

 

 ただ、日本周辺の近海は欧米に比べると波エネルギーが小さい。このため、波のエネルギーをいかに効率良く電力に変換できるかがポイントだ。三井造船が開発した今回の装置は、同社がこれまで造波装置で蓄積した制御技術を応用、発電機をモーターとし、装置を励振(れいしん)させて、波の力が弱い時でも効率良く発電できるようにしている。また日本の近海は漁場が多いことから漁業活動と共存できるよう、設置面積も小さ目にした。

 

 波力のエネルギーは無限にある。だが、発電装置と発電した電力を送電するコストがかかる。設置された装置が沿岸から遠く離れるほど、波の力が強くなるので強いエネルギーを得られやすいが、沿岸からの距離に比例して送電コストが大きくなる。

 

 現在の波力発電コストは1kWh当たり60円程度。NEDOは、まず40円/kWhに低減したシステムの確率のめどをつけ、さらに2020年度以降に向けて20円/kWhを実現するための要素技術を開発するとしている。



 発電の核となる機械式波力発電装置は、波によるフロートの上下運動を機械的に回転運動に変換して、発電機で発電を行う。波が発電装置に当たると、そろばん珠状のフロート、その上部にあるブリッジ、ブリッジの中央にある下向きのロッドが一体となって上下運動を行い、ロッドがスパー上部を貫通する仕組みだ。



 また、スパー下部にはヒーブプレートと呼ぶ円盤があり、フロートの動きには追従しない。こうした相対的な運動がロッドの上下運動となる。この上下運動が、スパー内部側のロッドの先端にあるボールネジによって回転運動に変わり、同じくスパー内にある発電機を回転・発電させる。

 

http://www.mes.co.jp/press/2017/20170510.html