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前田建設工業 岩手県大船渡市でのバイオマス混焼石炭火力計画を、「バイオマス専焼」に切り替え。パリ協定等の要請を考慮、と説明(RIEF)

2017-06-22 22:00:35

maeda2キャプチャ

 

 前田建設工業は、岩手県大船渡市で建設を計画していた 「(仮称)大船渡港バイオマス石炭火力発電所」について、当初のバイオマス・石炭混焼から、木質バイオマス専焼に切り替えることを公表した。岩手県環境影響評価条例に基づく環境影響評価方法書の中で明示した。同社はバイオマス専焼に切り替える理由として、パリ協定の発効、環境負荷低減の必要性などをあげている。これにより、2012年以降の国内石炭火力発電所建設計画は49基中、4基が計画中止・変更になった。

 

 ただ、2017年6月現在で残りの大半の43基は計画進行中である。また2基はすでに稼働している。

 

 石炭火力発電新設に反対の姿勢をとる環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は「日本が直面しているエネルギー事情をふまえ、計画を環境負荷が大きく低減する方向に見直した、としている点は高く評価する」と歓迎する一方で、バイオマス燃料調達先が明示されていない点などを指摘、環境負荷の一層の低減の確約を求めている。

 

 前田建設は、バイオマス混焼から専焼に変更した理由として、パリ協定が発効したことのほか、日本のCO2排出量が世界5位であり、政府として2050年に80%削減目標をかかげていること、さらに石炭火力発電所の急増、CO2排出量の多さや環境負荷の大きさなどをあげている。

 

 同火力発電所は、大船渡港の永浜・山口地区工業用地のうち11万7000haの敷地で、出力11万2000kWのバイオマス混焼石炭火力発電所を建設する計画だった。前田建設では、バイオマスをすべての燃料とするバイオマス専焼発電所に切り替えることで、カーボンニュートラルの発電所とし、地域の電力需要に応えるとともに、国際的な温暖化対策にも資すると、している。

 

  燃料となるバイオマス(木質ペレット)は、日量1360㌧を使用、年間では44万㌧に使用量になる。主に輸入によって調達する方針で、一部を地域の山林等からのバイオマス調達でまかなう考えという。地域の木材を燃料として積極活用することで、地域活性化の期待とともに、雇用の創出等地域経済へのプラス効果が高まると、説明している。ただ、具体的な輸入比率は示されていない。

 

 また敷地面積の25%を緑地として確保する。手続きが予定通り完了すれば、来年度に着工して、2021年度に稼動する予定。

 

 石炭火力新設計画からの計画変更は、兵庫県赤穂市の2基の計画変更、千葉県市原市の1基の計画中止に続くケースとなる。今回の前田建設工業の変更理由として、初めてパリ協定に言及した点が注目される。

 

https://www.maeda.co.jp/news/2017/06/15/1670.html

http://www.kikonet.org/info/press-release/2017-06-21/Ofunatoshi_plan_change