NECも、2050年のCO2排出量「実質ゼロ」を宣言。サプライチェーンでの排出量ゼロも目標に。ITを活用して、水不足や災害リスク最小化のソリューション提供も目指す(RIEF)
2017-07-09 23:59:37
NECは7日、2050年に二酸化炭素(CO2)排出量を、サプライチェーンの排出削減をゼロにすることを含め、同社関連の排出量を「実質ゼロ」にする気候変動対策指針を発表した。同時に、気候変動に伴う水不足や洪水・土砂災害リスクなどの被害を最小限に食い止めるため、IT(情報技術)サービスの開発にも力を入れる。
2050年に向けて、「CO2排出量ゼロ」を宣言する企業は、トヨタ自動車、パナソニック、ソニー、リコー、富士通、コニカミノルタ、積水ハウスなどと増えている。NECの宣言はこれらに続くものだが、自社の排出ゼロに加えて、サプライヤーの排出量ゼロの促進も、指針に盛り込んだ。
また排出量削減だけでなく、気候変動の激化によってサプライチェーンや地域社会での適応リスクが高まっていることを受けて、省エネやIoT、AI、ビッグデータなどIT関連技術を活用して、ソリューションを提供していくとしている。気候変動リスク対応にとどまらず、気候変動ビジネスとして積極的に取り込んでいく考えだ。
自社の事業活動に伴うCO2排出量の削減については、事業活動による直接排出量と、光熱費などの間接排出量を合わせたScope1、2の排出量を実質ゼロにすると宣言した。「実質」とは、排出量削減が十分にできない場合に、外部からカーボンオフセットを購入してカバーすることを意味する。
自社での排出削減対策としては、最新・最先端の省エネ技術によるエネルギー使用量の削減として、相変化冷却や排熱利用等の先端技術を活用したデータセンターの省エネ化、IoT・ビッグデータ・AI等の最新ITの積極活用、新たなイノベーションの開発・適用 等を列挙している。
次に、再生可能エネルギーについても、自社事業場内や自社保有ビルへの整備導入を進めるとともに、事業場外への設置の拡大、大型蓄電システムとの連携 等を目指すとしている。それに加えて、カーボン・オフセットの活用をあげている。
取引先等のサプライチェーンからのCO2排出量については、Scope3として把握、自社との取引に関する排出量を実質ゼロにする努力をするとしている。その一つは、サプライチェーン向けに販売した製品のエネルギー効率改善対策を継続・強化することであり、もう一つは、サプライチェーンから購入する物品・サービスについて、サプライヤーへの排出削減要請と、サプライヤーと連携した削減対策を継続・強化する、としている。
さらに、気候変動の影響で激化する水不足や洪水・土砂災害リスクなどについて、気候変動リスクの中でグローバルサプライチェーンへの影響評価を行い、サプライヤーと連携して定期的にBCP対策の策定・見直しを行う、としている。気候変動による適応リスク問題は、水不足、食料問題等へと影響が広がっている。
この点について、同社の大嶽充弘執行役員常務は「世界で食糧難や水不足、洪水災害に直面しており、我が社にとっても重要な事業課題だ」と指摘した。気候変動対策指針にも、エネルギーや水・食糧の安定供給、健康被害への事前対策など、気候変動リスクを考慮した安全で安心な社会を顧客との「共創」を通じて実現する、との文言を盛り込んだ。