フランス・ユロ環境相、2025年までに17基の原発を廃炉にすると宣言。「原発比率75%⇒50%」目標を着実に実現。フランスの原発政策の大転換に(RIEF)
2017-07-11 15:52:58
フランスのニコラス・ユロ環境相は、2025年までに国内の原発を17基廃炉にすることを言明した。フランスの電力の75%は原発の電力で供給されているが、オラント前政権が安全性の理由から、比率を50%に下げる方針を示していた。ユロ環境相は「(50%)目標を実現するには多くの原発を停止しなければならない」と述べた。
ユロ環境相はRTLラジオで発言した。同氏は、エドゥアール・フィリップ 首相の決断として、前政権の公約の具体化に言及した。環境相個人の意向ではなく、内閣の判断であることを強調した。「目標達成のためには、17基前後の原発を停止することになる」と見通した。
フランスは現在、58基の原発が稼動している平均稼動期間は30年を超えている。このうち15基は35年を超えているという。この中には、ドイツとの国境沿いに設置され、安全性の観点からドイツがこれまで廃炉を要求してきたフランス最古(1977年設立)のフェッセンハイム(Fessenheim)原発も含まれる。
フランスは原発について「40年稼動」を原則としていることから、このままでも、2025年までにはこれら15基は廃炉対象となる。それに数基を加えることになる。ただ、前政権の環境相だったセゴレーヌ・ロワイヤル氏は、稼動期間に達した原発の「10年延長」を宣言していた。
フランスは1973年の石油危機でエネルギー不足に見舞われたことから、エネルギー自給を目指して原発中心の政策を展開してきた。これまでに投じた原発の建設費だけで3300億㌦(36兆6300億円)にのぼる。同国の原発産業は20万人以上の労働者を抱えている。
仮に原発を全廃して再生エネルギー発電に切り替える場合、電力網の改善費用を含めて、2170億ユーロ、さらに廃炉費用が850億ユーロかかると試算されている。一方で、原発政策を継続する場合も稼動期間の延長費用に1000億ユーロ、廃炉原発を新規原発に置き換える費用はさらに2500億~3000億ユーロが必要とされる。どちらにしても膨大なエネルギー転換費用がかかることになる。
http://www.france24.com/en/20170710-france-hulot-could-close-nuclear-plants