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経産省 原発からの高レベル放射性廃棄物の最終処分地候補マップ公表、「日本中の約7割の地域で埋設可能」と。本当か(?)(各紙)

2017-07-29 00:53:31

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 経済産業省は28日、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場候補地となり得る地域を示した「科学的特性マップ」を公表した。適地は全ての都道府県に存在し、国土の7割弱が該当。このうち海岸から近く最適と判断された地域の自治体は全市区町村の過半数の約900に上る。「日本中の大半が候補地」といえ、「どこが科学的?」との声も出そうだ。

 

 原発廃棄物の最終処分場は、一カ所当たりの事業費は3.7兆円と見積もられている。地下300m以上深い地層に、使用済み燃料を溶かしてガラスと混ぜ合わせた固化体を金属製の容器に入れて埋める。ガラスや容器が数万年で溶けても、放射能が漏れ出ないよう10万年は閉じ込め続けるという。そのため、これまでは、地下の岩盤が強固で、地下水の影響の少ない処分地の適地が日本では限られている、と指摘されてきた。

 

 ところが経産省が公表した「科学的マップ」は、そうした既成概念を「一変」する内容だ。すでに公表されている活断層や火山、地盤などの情報を踏まえ、日本全国を4色に色分けした。

 

 火山から15km以内や活断層の周辺など、問題のあると推定される地域はオレンジ色。地下に石油や天然ガス、石炭などがあり、将来採掘の可能性がある地域は銀色とし、これら両方の色の地域は候補地に「好ましくない」地域とした。

 

 それ以外は「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」候補地に該当するとして、緑色とした。緑色地域のうち、海岸線から20km以内は「輸送面でも好ましい」ので、さらに濃い緑色とした。

 

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 面積でみると、オレンジ色と銀色を合わせた「好ましくない地域」と、緑色、濃緑色の各地域は、ほぼ3分の1ずつの配分となる。緑色+濃緑色を合わせると約7割、濃緑色だけでも約3割が候補地となる。「日本はどこでも、核のゴミを埋められる」とのメッセージともいえる。

 

 だが、現実は逆だ。処分場は他の国でも決定していない国が少なくない。決めているのは、フィンランドとスウェーデンくらい。米国でもネバタ州のユッカ・マウンティンが高レベル放射性廃棄物の埋設処分候補地とされてきたが、地元の反対等で長期間決められないままになっている。

 

 経産省は「マップ」をもとに9月から全国の自治体への説明会を開催し、処分地の候補地の選定作業に入る。世耕弘成経産相は記者会見で「最終処分の実現に向けた重要な一歩だが、同時に長い道のりの最初の一歩だ」と述べた。

 

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 「どこでも可能」とする「マップ」を公表しても、対象自治体で受け入れの理解を得られるかというと、極めて難しいというのがこれまでの経緯である。調査自体にも、周辺環境への影響評価や、実際の掘削調査などで20年はかかる。実際に埋設・管理の面でも技術的に未確立の点が少なくない。しかもいったん受け入れると、10万年は「ゴミ捨て場」としての利用が続く。

 

 経産省が9月から開始する説明会は、すべての対象自治体で開くわけでもない。使用済燃料の再処理場を設けている青森県は、国との間で処分場には転用しないとの約束があり、東京電力福島第一原発事故処理が進行中の福島県は、廃炉の見通しがつかない。こうしたことから、2県では説明会を開かず、事実上、最終処分場の対象外にするという。

http://www.numo.or.jp/kagakutekitokusei_map/