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環境省、福島原発の除染事業詐欺事件の安藤ハザマを3カ月の指名停止処分。東京地検が詐欺罪で起訴しているのに、「故意の不正請求はなかった」と穏便な措置(各紙)

2017-10-05 22:45:54

andouhazamaキャプチャ

 

 各紙の報道によると、環境省は、東京電力福島第一原発事故の除染事業費詐欺事件で、ゼネコンの安藤ハザマを3カ月の指名停止処分にしたと発表した。東京地検特捜部が詐欺罪で社員を在宅起訴したことに伴う措置。国直轄の除染事業を受注した建設会社の調査結果も公表し、安藤ハザマなどに対し計約300万円を国が余計に支払っていた。ただ、地検が詐欺罪で起訴しているのに、環境省は「故意による不正請求はなかった」と説明するなど、安藤ハザマを擁護する姿勢を示している。

 

 

 環境省の説明によると、安藤ハザマは東電福島事故による放射能汚染の除染作業のうち、福島県浪江町で手掛けた3件の工事で、計約117万円を余計に支払っていた。食費込みで宿泊費を請求したり、領収書の添付間違いをしたりしたことなどによるものだった。

 

 他の鹿島や大成建設などが組織する共同事業体(JV)が請け負った除染作業でも、集計ミスや二重請求で計5件、約185万円が過払いされていたという。しかし、同省はいずれのケースも、故意による不正請求ではなかったと判断したという。

 

 安藤ハザマの除染作業をめぐっては、東北支店の土木部の幹部2人が、田村市での除染事業で作業員の宿泊費を約4100万円水増しし、支出実績を約2億円と偽った報告書を提出。業務委託料の残額として約7600万円を詐取したとされる。2人は報告書の提出に際して領収書などを改竄して提出していたという。



 安藤ハザマは今年6月、田村市には約2700万円、福島県いわき市に約5300万円を水増し請求していたことを認め、公表した。特捜部は田村市の水増し請求で2人を立件した。安藤ハザマは「会社としての関与は認められないものの、今回の事態を厳粛に受け止め、再発防止に努める」などと説明してきた。

 

 同社は企業の社会的責任(CSR)活動として、「公正で誠実な企業活動」を標ぼうし、「『安心、安全、高品質な良いものづくり』を事業活動の基本とし、それによって社会やお客様の発展に寄与することを目指している。その実現には、経営環境の変化にも迅速に対応できる経営システムの維持・改善と経営監督機能の透明性・公正性が不可欠であると考えているため、コーポレートガバナンスの充実に継続的に取り組んでいく」と宣言している。

 

 環境省は、除染作業での作業員の宿泊費の確認を徹底するため、今後は、領収書に加え、金融機関の振り込み記録も提出させる方針を示し、日本建設業連合会と全国建設業協会の業界団体に対し、企業統治(ガバナンス)の強化や法令順守の徹底を求める通知を出した。

 

 環境省が「穏便な」指名停止処分にした背景には、安藤ハザマだけでなく、他のゼネコン等でも、同様の杜撰な伝票処理をしているケースが少なくないとみられる実態があると思われる。また、チェックする立場にある同省自体に十分な管理能力がないことから、業者に足元をみられてきたという事情もあるようだ。

http://www.ad-hzm.co.jp/

http://www.ad-hzm.co.jp/ir/pdf/pre/irnews/ir_20170928.pdf