米カリフォルニア州のブラウン知事 2030年までに州内のEV等のゼロエミッション車を現状比140倍強の500の18倍の25万台に。補助金増額と充電ステーションの増強に25億㌦支出を提案(RIEF)
2018-02-05 07:00:13
米カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事は、州内の充電ステーションの整備や電気自動車(EV)の購入者への補助金などで、燃料電池車(FV)を含めたゼロエミッション車を現状の3万5000台から、2030年までに140倍強の500万台に増大させる計画を公表した。計画を実現するため、25億㌦を投資する。
ブラウン知事は今年が知事任期の最終年。野心的な計画の提示によって、カリフォルニアの自動車文化を環境に配慮する方向に転換させることを、自らのレガシー(遺産)にしたい考えという。同時にパリ協定から離脱を表明したトランプ大統領に代わって、カリフォルニア州を気候変動との闘いのグローバルリーダーとしての座を明確にしたいとの思いも込めている。
これまで同州は2025年までの目標としてEV等のゼロエミッション車を150万台に拡大する計画を立てていた。新計画は、その目標を5年後には倍にまで増やすことになる。目標達成すると、2030年の同州での新車販売の40%がEV等になる。EV拡大のカギとなるのは電力の充電ステーションで、その拡大のための追加予算は議会の承認が必要となる。
同州の大気資源理事会(CAB)の議長のMary Nichols氏は「知事の提案は極めてまっとうだ。無理に目標を引き上げているわけではない」と支持している。
知事の計画は、EvやFV等の新車のゼロエミッション車の購入者への補助金の増額が一つ。現在、プラグインハイブリッド(HPV)FVを含めた新車購入者・リース者に対しては、1台当たり7000㌦を交付している。知事はこれを、今後8年間、1年当たり2億㌦相当に引き上げる予算を組むという。
また、EVやFVなどの燃料供給ステーションの増強を盛り込む考え。州内の充電ステーションは現在1万4000カ所だが、これを一気に約18倍の25万カ所に増やす。現在31カ所の水素ステーションは、約6倍の200カ所に増やす。この数字でも明らかなように、RVも対象にしているが、ステーションの数では明らかにEV主導の支援策になっている。
同州は2030年までに90年比で温室効果ガスの排出量を40%削減を目標として掲げている。州内の発電所は大半が太陽光発電や風力発電、水力発電等の増強となっており、温室効果ガス排出量の削減が進んでいる。しかし、車からの排出量削減が大きな課題となっている。
EV等のゼロエミッション車への支援提案にもかかわらず、米国の消費者の自動車選好はEVよりもピックアップ車やスポーツ多目的車の人気が高い。また自動車販売店にとっても、ゼロエミッション車の販売マージンが低いということも普及の妨げになっているとされる。
ブラウン知事は、EVなどのゼロエミッション車が路上で増えれば、消費者の判断も変わるとみている。同州議会の民主党議員らも、2040年までに全新車販売をゼロエミッション車に限定する法案の提出を予定するなど、知事の政策を支持する動きもある。