国際金融公社(IFC) 新興国・途上国のサステナブル・バンキングの制度整備の初の「進捗レポート」公開。中国、ブラジルなど8カ国を「先進8カ国」と評価(RIEF)
2018-03-04 16:14:47
国際金融公社(IFC)は、34の新興国・途上国でのサステナブル・バンキングの進捗状況をまとめた。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成には2030年までに毎年7兆㌦のファイナンスが必要とされ、途上国の銀行の役割が重視される。報告は、中国、ブラジル、インドネシアなど8カ国を、銀行を支援する法制度や活動結果についての情報開示などが進んでいる「先進8カ国」と評価した。
途上国でのサステナブル・バンキングの政策支援を目的とした「サステナブル・バンキング・ネットワーク(SBN)」は、2012年に10カ国がIFCに協力を求めて設立された。各国の銀行監督当局と関連機関をネット化し、サステナブル関連の法規制等の基盤整備を進めてきた。
ネットワーク発足後5年で、参加国は34カ国に増えた。傘下の対象銀行の総資産額は42兆6000億㌦に達し、途上国市場全体の資産の85%以上をカバーするまでになっている。 SNBプログラムは中国政府がサポートしているほか、日本、スイス、フランスなどもプログラムを援助・推進している。
今回公表された初の「SBNグローバル・プログレス・レポート」では、まず、法規制等の整備が進んでいる「もっとも進捗している『先進8カ国』」に、中国、ブラジル、インドネシアのほか、コロンビア、モンゴル、バングラデシュ、ベトナム、ナイジェリアの各国をあげた。
途上国の金融当局の多くは、銀行に対して、投融資戦略と実際の活動に、持続可能性への配慮を組み込むことを政策や原則として取り組んでいる。政策としての対応は、中国とインドネシア、ペルーの3カ国では、法規制あるいは規制ガイドラインを採用している。これに対して、コロンビア、ケニア、モンゴルなどは、銀行界による自発的な対応を中心としている。
その他のブラジル、南アフリカなどは、法規制と自主規制の併用型をとっている。途上国全体では、銀行界の自発的な対応が中心という。34カ国のうち19カ国はまだ初期段階だが、15カ国はすでにサステナブルファイナンスの政策や原則を導入している。このうちエクアドルはまだ実施していない。
またケニア、メキシコ、モロッコ、ペルー、南アフリカ、トルコの6か国は政策を定め、実施に向けて動き出した「新興ステージの国」との位置づけだ。ただ、まだどの国も国内の銀行が総合的な行動の変化を示すほどの「十分に成長した」状態にまでは成長していない。
銀行分野のサステナブル体制の整備が進む中国、ブラジル、インドネシア、モロッコ、南アフリカの各国では、同時に保険、機関投資家分野でのサステナブル体制の整備・改善も進んでいる、としている。
国連が推進している持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、2030年までに年間7兆㌦のファイナンスが必要とされる。これらの資金は政府部門からのファイナンスでは補いきれないことから、各国とも国内銀行部門が多くの資金をファイナンスすることが期待されている。途上国全体でも、総額50兆㌦以上の銀行資産があり、こららの資金の活用が政策課題となっている。