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歩くたびに発電する摩擦発電機。一歩でLED10個以上点灯。関西大学の研究グループが開発(RIEF)

2018-03-12 15:36:31

shoesgenerationキャプチャ

 

 「たった一歩で、LED10個以上の点灯が可能」――という高効率の摩擦発電機の開発に、関西大学の研究グループが成功した。靴のインソールのかかと部分に組み込んで簡単に発電ができる。発電した電力はワイヤレス回路に接続して信号を発信したり、蓄電機能と併用してスマートフォンの充電も可能あという。発電のために歩く人が増えると、健康にもプラスかもしれない。

 

 摩擦発電機を開発したのは、同大学システム理工学部の谷弘詞教授らのグループ。同グループは、数年前から、摩擦で発生する静電気で発電する摩擦発電の開発に取り組んできた。発電機はゴムと電極、帯電フィルム、それらをさらに重ね合わせた積層構造で、接触帯電によって帯電した静電気を取り出す仕組みだ。

 

 しかし、当初、発電機は、1歩当たりで0.003mWという微弱な発電しかできなかった。その後、改良を重ねることで、発電量を0.6mWと200倍にまで引き上げることに成功した。発電量は瞬間的には10mWにもなるという。ゴムの表面の粗さを工夫することで、ゴムの表面に配置した2種類の帯電フィルム間の接触面の距離を最適化して発電量を増やすことに成功した。

 

 摩擦発電機の耐久力も、「靴の寿命程度は達成できる」(谷教授)という。ワイヤレス回路と接続できるので、ビーコン信号などを送ることができる。このため、ビーコン信号で人がいるかどうかを検知可能な自動運転の運転システムに使ったり、GPS端末を組込むことなどが考えられる、としている。

 摩擦発電機で点灯したLED

     摩擦発電機で点灯したLED

 

  発電機のサイズは 50×50×6mm、重量15gという大きさで、ゴムをベースにしているので、すっぽりと靴のインソールに組み込むことができる。靴にLEDを組込めば、歩くたびに光らせることもできるという。

 

 現在の0.6mWの発電量で、10個以上のLEDの点灯やワイヤレス回路の駆動が可能になる。谷教授らはさらに構造を改良して、発電量を一歩当たり0.1Wにまで引き上げる計画だ。そうなると、「歩くこと」が環境発電デバイスとなって、してさまざまな応用が可能になり、人間の行動自体が変化する可能性も期待できる。

 

http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2017/No64.pdf