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日本証券業協会(JSDA)が、4項目のSDGs宣言。地球環境保護には触れるも、TCFD勧告への対応などの具体策はなし(RIEF)

2018-03-22 18:43:15

JSDA2キャプチャ

 

 日本証券業協会(JSDA)は22日、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を支援する「SDGs宣言」を出した。SDGsは17の目標と169のターゲットを公表しているが、日本の証券業としての取り組みとして、①貧困、飢餓をなくし地球環境を守る②働き方改革と女性活躍支援③社会的弱者への教育支援、など4項目をあげた。

 

 証券業協会は2017年9月に、証券各社のトップがメンバーとなり、「証券業界におけるSDGsの推進に関する懇談会」を設置、議論を重ねてきた。懇談会は「貧困、飢餓をなくし地球環境を守る分科会」「働き方改革そして女性活躍支援分科会」「社会的弱者根の教育支援に関する分科会」を設けて、具体的な取り組みについて協議をしてきた。

 

 その結果、①の「貧困、飢餓をなくし、地球環境を守る取り組み」では、証券市場が有する資金調達・供給機能等を通じて、社会課題の解決を目指すとした。具体的な対応については触れていないが、グリーンボンドやソーシャルボンドの資本市場での普及に取り組むことが最大の課題となる見込みだ。①についてはSDGsのうち、目標 1の「貧困」、同2の「飢餓」など9目標が該当する、と位置づけている。

 

 ②の「働き方改革そして女性活躍支援を図る取り組み」では、ワーク・ライフ・バランスの推進等を通じて、働きがいのある職場づくりを目指す」とした。証券業界における生産的な雇用と  ディーセント・ワークの達成が課題だ。SDGsの目標5「ジェンダー」、同6「経済成長と雇用」が該当するとしている。

 

 ③の「社会的弱者の教育支援」については、子どもたちへの支援等を通じて、あらゆる機会を平等に与えられる社会の実現を目指す、とした。ここでも具体的な対策や目標は盛り込まれておらず、証券市場が教育や格差解消に果たす役割の明確化は示されていない。目標4「教育」など3目標が該当としている。

 

 ④として「SDGsの認知度及び理解度の向上に冠する取り組み」では、証券各社の役職員のSDGsに関する当事者意識を高め、内外における認知度・理解度の向上を目指すとしている。

 

 欧米の証券市場関係者の間では、SDGsとともに、サステナブルファイナンスの具体化が喫緊の焦点となっている。具体的には昨年夏に、気候変動関連の財務情報開示を求めたFSBのTCFD勧告への対応が問われている。気候変動対応はSDGsでも目標13として具体化され、JSDAも上記の①には「目標13が入る」との説明だが、目標13関連で証券市場に大きな影響を及ぼすTCFD勧告を業界として支持するのかどうかは、今回の宣言では不明だ。

http://www.jsda.or.jp/katsudou/sdgs/files/sdgsdeclaration180322_j.pdf

http://www.jsda.or.jp/katsudou/sdgs/files/sdgsapproach180322.pdf