HOME13 原発 |日立製作所、英原発建設計画、即時中止なら損失は最大約2700億円に。計画推進の条件は①日立本体からのオフバラ化②適切な収益確保③許容可能な出資比率。最終決定は2019年度(RIEF) |

日立製作所、英原発建設計画、即時中止なら損失は最大約2700億円に。計画推進の条件は①日立本体からのオフバラ化②適切な収益確保③許容可能な出資比率。最終決定は2019年度(RIEF)

2018-07-30 17:22:14

hitachi5キャプチャ

 

 日立製作所は、英国で計画中の原子力発電所事業について、現時点で中止すれば最大約2700億円の損失が生じるとの見通しを示した。ただ、「基本的に事業継続判断は変わっていない」西山光秋専務(CFO)としている。最終的な事業判断については、2019年度中に行うとしている。

 

写真は、日立製作所の子会社、ホライズ社の原発建設予定地(手前)。奥には廃炉作業中の原発=英アングルシー島)

 

 日立が計画している英原子力発電所は、2012年に買収したホライズン・ニュークリア・パワー社が英国西部のアングルシー島のウィルヴァ・ニューウィッドの旧原発廃炉隣接地に建設を目指しているもの。同地は、子会社の同事業について着工の可否は来年中に判断する。

 

決算内容を説明する西山専務
決算内容を説明する西山専務

 

 建設ゴーサインの場合は、2019年後半に建設開始、2020年代前半に運転開始を予定している。日立製の出力130万キロワット級改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を2基設置する予定だ。

 

 同プロジェクトの総事業費は200億ポンド(約3兆900億円)。現在検討中の資金プランでは、英国政府が2兆円規模の融資枠を設け、残りの1兆円分は、日英政府・企業連合の3社が3000億円ずつ出資する案が検討されている。日立はホライズンへの出資比率を50%未満の連結対象外として、万一の場合に備えることも条件としている。

 

 日立が先週末に開いた機関投資家・アナリスト向け説明会で、説明に立った西山光秋専務は、事業継続のスタンスに変更がないことを強調する一方で、①日立からのオフバランス化を前提とする事業モデルの推進②民間事業としての適切なリターンの確保③許容できる出資判断ーーの条件を示した。

 

 そのうえで、「万一、仮の話だが、今日時点で(撤退したら)なら、約2700億円の資産をホライズン社に対して持っている(それが損失になる)」と述べた。最終的な事業決定判断については、2019年度に実施する。

 

 また西山氏は、国内の原発事業の再編成案が浮上していることに関連して、「コメントは差し控えたい」としながらも、「原子力事業は簡単にやったり、やめたりはできない事業。国内の止まった原発の廃炉処理も含めてやっていくというのは、大きな課題。1企業としてはかなり負担が重い。(他社と)組んでやるのも一つのオプションと思う」と語った。

http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2018/07/0727.html