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東芝、火力発電所等から排出されるCO2を、化学品原料となる一酸化炭素(CO)に効率変換する技術開発。CO2を資源として循環活用へ道。「技術の東芝」がんばって!(RIEF)

2019-03-16 12:31:34

toshiba13キャプチャ

 

  東芝は、火力発電所等から排出されるCO2を、プラスチックなどの化学品や燃料の原料となるCO(一酸化炭素)に、再エネ電力を使い変換する技術を開発した。従来より約450倍も効率的という。2020年代後半の実用化を目指す。CO2削減にはCCS(CO2回収・貯留)技術が知られるが、コスト面がネックになっている。東芝の新技術はコスト対応とともに、CO2を資源として循環させるメリットがある。

 

 東芝は開発した技術を、3月16日から19日に神戸で開く「日本化学会 第99春季年会」で発表する。

 

 自動車などに使う固体高分子型燃料電池(PEFC)に使う触媒電極を改良し、太陽光発電などの再生可能エネルギー電力を使って、CO2を変換する仕組みだ。CO2を資源に変換するには、電極の表面で化学反応を起こす電気化学セルを用いる。

 

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 従来の方法では、電気化学セルに電圧をかけ、水溶液に溶け込ませた微量のCO2をCOに変換する手法だった。この場合、水溶液に溶け込ませるCO2量が少ないと変換反応が停滞し、電気化学反応速度を示す電流密度が小さくなるといった課題がある。

 

 改良のポイントは、電極の一部を金の微粒子を含むものに置き換えた点。これにより、CO2は液体に溶かさなくても、気体のままで反応できることから、効率良く変換でき、電極1㎠当たり1分間に4.5㎖のCOに変換できるという。

 

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 大幅な効率化を実現することで、小型プラントの建設が可能になる。このため、火力発電所やセメント工場などに設備を設置すれば、排出されるCO2を回収してCOに変換後、プラスチックやガソリンなどの原料として活用できる。

 

 また、触媒層の構造についても、従来の仕組みに加えて、より多くのCO2ガスを触媒に供給できるようにすることで、これまでの東芝の技術比で約450倍の変換速度でのCO生成が可能になったという。

 

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 東芝は、将来的にはこの技術を、CO2 を大量に排出する火力発電所や産業施設などの施設・設備に設置し、太陽光や風力などの再エネ発電施設からの電力を活用してCO2からCOへの変換ビジネスにつなげることができるとしている。

 

 CCSの場合は、回収したCO2を地下や海底に貯蔵させる手法で循環型ではないが、東芝の新技術の場合は、サーキュラーエコノミー技術といえる。スケールアップが実現できるかどうかがカギだ。

 

http://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/1903_02.htm