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大阪ガス、山口・宇部の大型石炭火力発電事業から撤退を表明。「将来のリスク等を判断」。共同事業者の宇部興産、電源開発は規模縮小等で事業継続を表明(RIEF)

2019-04-24 21:40:39

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 大阪ガスは、山口県宇部市で進めていた石炭火力発電所「西沖の山発電所(仮称)」の新増設計画から撤退する、と発表した。「電力事業を取り巻く事業環境の変化や将来的なリスク等を踏まえて判断した」としている。同事業を共同で推進してきた宇部興産、電源開発は事業規模を縮小するなどして継続する方針を示している。

 

 (写真は、西沖の山発電所の完成予想図)

 

 西沖の山発電所計画は、2015年3月に、大阪ガス、宇部興産、電源開発の3社が共同で事業会社の「山口宇部パワー(YUP)」を設立。発電出力60万kWの超々臨界圧石炭火力発電設備(USC)を2機を2026年稼動目標で建設する計画を進めてきた。出資比率は、大阪ガスと電源開発が45%、宇部が10%の比率。これまで2018年9月には、環境影響評価準備書を国に届け出るなどの手順を踏んできた。

 

 今回、事業からの撤退を表明した大阪ガスは、①電力事業を取り巻く事業環境の変化②将来的なリスク③当社の投資基準ーーの3要件をあげて「総合的に判断した」と説明している。

 

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 一方、宇部興産と、電源開発は、現在進めている環境アセスメント手続きをいったん中止するとした。ただ、事業自体からの撤退はせず、今後、発電規模を縮小し、USCを1機建設する方向にスケールダウンするか、あるいは、USCよりもCO2排出量が少ない酸素吹き石炭ガス化複合発電(IGCC)への計画変更等を検討するとしている。

 

 CO2排出量の多い石炭火力については、パリ協定の目標達成に向けて、全廃すべきとの主張が欧州を中心に強い。わが国では、小売電力自由化を受けて、事業会社等による石炭火力事業への進出が相次いできた。消費者向けにガスをはじめエネルギー供給事業を展開している大阪ガスに対しては、環境NGOなどからの停止要請が強く示されていた。

 

 また地元の宇部市長は、環境影響評価手続きにおいて、「再検討」を求める意見を表明している。3月28日には環境省が電力部門の低炭素化を求める姿勢を強調するなど、同事業の継続への異論が広がっていた。

 

 環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は大阪ガスの発表を受けて「同社の決断を歓迎する。宇部興産、電源開発がなお事業を継続しようとしていることは驚きだ。事業は直ちに白紙撤回すべきだ」と指摘している。また、国内にはまだ、25基の石炭火力発電所の新増設計画があり、KIKOはこれらの事業も早急に撤退すべき、と求めている。

 

http://www.osakagas.co.jp/company/press/pr_2019/1279494_40360.html

http://www.jpower.co.jp/news_release/2019/04/news190424.html

https://www.kikonet.org/info/press-release/2019-04-24/osaka-gas-coalpowerplan-ube-cancel

http://www.yamaguchiubepower.jp/assess/pdf/180927_aramashi.pdf