米企業中心に、大企業のCSR経営責任者で構成する「CSR Board(CSR役員会)」立ち上がる。責任者同士が「仲間(ピア)」として意見交換と情報共有の場に(RIEF)
2019-04-26 08:30:28
米系の主要企業27社が、企業の社会的責任(CSR)活動に取り組むCSR担当の役員らのネットワークである「CSR Board(CSR役員会)」を立ち上げた。企業のCSR活動を実践する上で、CSRの責任者同士が忌憚のない意見を交換する場にするという。このため、CSRコンサルや各社の「お付きの社員」等を除外した形で、CSR最高責任者が「CSRピア」として議論と情報交換をするという。
同Boardの創設メンバーは、シスコや、レンタカーのハーツ、モトローラ・ソリューション、情報サービスのエキスペリアン、保険のマスミューチュアルなど。日本のサントリー傘下のビーム・サントリーも加わった。
運営は、シニアレベルのリーダーによる会員制組織委を運営する「Board.org」が引き受ける。目的(Mission)はお互いの信頼関係を維持できるCSR責任者レベルでの議論をするという。CSR課題は、日本でも一昨年来、不祥事が相次ぎ、ガバナンス課題となっている。そうしたガバナンス不祥事等の発覚は、企業の経営責任に直結する。
それだけに、CSR分野の責任を担う役員同士の間では、共通の課題や問題意識、対処方法の伝授等のニーズが少なくないとみられる。あるいは共同でCSR活動を展開する話し合いの場としての期待もある。
運営を担当するBoard.orgのCEO、Andy Sernovitz氏は「CSRリーダーたちがこうしたグループを必要としていることは明確だ。創設には各社の経営トップのエネルギーと情熱が大きな力となった」と述べている。
設立された「CSR Board」は、業界団体やキャンペーン団体等とは一線を画す。大企業の経営リーダーたちのCSRへの取り組みを支援することを目指したもので、経営層がCSRに関する経験や知識等をシェアし、協力し合うことを支援するのが目的、としている。
エクスペリアンのCSR担当役員のCarol Urton氏は「われわれのゴールは、世界にポジティブな変革を創り出すことに情熱を持つ、同じ考えのCSR責任者による協議の場を作ることをサポートすることにある。世界をより良い場にするため、われわれ自身の活動と、他の著名企業の活動の増大を推進していきたい」と意義を強調している。
住宅向け配管事業等をグローバルに展開するファーガソンのサステナビリティ責任者のケルシー・バーガン氏は「われわれは、CSRボード参加の他社から学ぶことで、われわれ自身のCSRを連続的に改善することを目指す」としている。
日本にも、こうしたCSR責任者同士の『インナーサークル』があってもいいのではないか。ただし、「お付きの社員」が入れない会議だと、意見も言えない担当役員が少なくないかもしれないが。
「CSR Board」の創設企業は次の通り。
Allstate、 Beam Suntory、Best Buy、BJ’s Wholesale Club、CenterPoint Energy、Cisco、Electronic Arts、Experian、Ferguson Enterprises、Georgia-Pacific、H&R Block、Hard Rock International、Hertz、The J.M. Smucker Company、MassMutual、Motorola Solutions、NVIDIA、ON Semiconductor、Pernod Ricard、Stryker、Synopsys、Tyson Foods、Vertex Pharmaceuticals、Yum! Brands.