HOME5. 政策関連 |CO2を分離・回収し、経済や燃料、化学品等の素材開発に利用する「カーボンリサイクル」技術開発で、民間ファンド設立へ。経産省も支援(RIEF) |

CO2を分離・回収し、経済や燃料、化学品等の素材開発に利用する「カーボンリサイクル」技術開発で、民間ファンド設立へ。経産省も支援(RIEF)

2019-09-03 13:39:35

carbonrecycle4キャプチャ

 

  三菱ケミカルやJパワーなどは、経済産業省の支援を受け、生産工程で発生するCO2を回収・再利用するカーボンリサイクルファンドを立ち上げるため、母体となる一般社団法人を発足させた。今後、民間企業等から資金を集め、CO2を元にして建材や化学品等の素材開発に投資する。

 

 (写真は、CO2から再生したレンガをみせる豪ベンチャー企業のトップ)

 

 発足したのは「一般社団法人カーボンリサイクルファンド」。会長に三菱ケミカルの小林喜光会長、副会長にJパワーの北村雅良会長がそれぞれ就任した。設立発起人は15社と2個人。

 

 Carbonrecycle1キャプチャ

 

 小林氏らは2日に経産省の世耕大臣と会談、小林氏は「国のプロジェクトとも連携していきたい」と述べた。これに対して世耕大臣は「日本がこの分野で世界を主導していくためにも、ファンドができたのはありがたい」として官民連携を強調した。

 

   石炭や天然ガスなどの化石燃料発電所等から排出されるCO2はこれまで、そのまま大気中に放出され、温暖化の原因となってきた。新法人は、それらのCO2を排出直前に分離・回収し、化学反応や人工光合成等の技術を活用して衣料品等の化学品、コンクリート製品などの建材、飛行機などのバイオ燃料等に転換する技術を開発、促進する方針。

 

 当面、新法人の資金は約1億円。今後、ファンドとして必要な調達資金は広く民間企業や銀行に呼びかけて拡大する。投資の第一弾は2020年度以降の予定。経済産業省は今2020年度の予算要求として、カーボンリサイクル関連予算を増大させ、民間ファンドを支援する方針。

 

 経産省は6月まとめたカーボンリサイクル技術ロードマップで、これまで研究開発が進むCCS(カーボン回収・貯留技術)とは別に、回収・利用を進めるCCUを位置づけ、両者を合わせてCCUSとして技術開発促進の展望を示している。2030年ころからの普及を目指し、それまでのフェーズ1をカーボンリサイクルの技術開発期間と位置づけている。

 

 Carbonrecycles2キャプチャ

 

 2030年からのフェーズ2の普及期には、例えばバイオジェット燃料は現状より8分の1から16分の1にまで低コスト化を図り、コンクリート製品も3分の1から5分の1に低下させるとしている。

 

 カーボンリサイクルが技術的のみならず、経済的にも低コスト化で採算が合うようになると、温暖化抑制に資するとともに、豊富な化石燃料を引き続きエネルギー源として継続使用できることになる。政府は、2050年までに、温室効果ガス80%削減の目標を国際的に公表しており、今後、再生可能エネルギーの普及とともに、カーボンリサイクルの実用化を本格的に進める方針。

 

https://www.m-chemical.co.jp/index.html

https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190607002/20190607002.html