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米司法省、自動車の燃費規制でフォード、ホンダなど4社を反トラスト法(独禁法)違反容疑で調査。連邦規制とカリフォルニア州規制の対立回避目指す業界の自主基準が標的に(RIEF)

2019-09-07 08:31:54

DOJキャプチャ

  米司法省(DOJ)が、自動車の燃費基準の設定をめぐって、反トラスト法(独禁法)違反の疑いで、フォード、フォルクスワーゲン、BMW、ホンダの4社を調査していることがわかった。トランプ政権は2020年水準での連邦規制の制定を求めているが、4社は、さらに厳しい基準設定を目指すカリフォルニア州との調整で自主基準を制定しようとしたことが、競争制限に当たるとみなされているようだ。

 ウォールストリートジャーナル紙が報じた。報道では、フォードとホンダはDOJの調査を受けたことを認めている。

 トランプ政権の環境保護庁(EPA)と運輸省道路交通安全局(NHTSA)は8月初め、乗用車と小型トラックの温室効果ガス(GHG)排出基準と、基準達成手段となる企業平均燃費(CAFE:Corporate Average Fuel Economy Standard)規制案を公表した。

hondaキャプチャ

 新規制案は、オバマ政権時代に定められた現行の基準値を緩和する内容。現行基準は、2026年型車まで1ガロン当たりの走行距離が54.5マイル(リッター換算21.1km)以上となるよう、年ごとに燃費改善目標を段階的に定めている。これに対し、新規制案は、2021~2026年型車の基準値を、2020型車の目標値である37マイル(リッター換算15.6km)に据え置くというもの。

 規制基準の引き下げで、燃費改善コストが下がるため、新車価格が低下、国内販売台数は2029年まで合計100万台増えるとしている。新車の安全性は高いので、2029年までに年1000人分の交通事故死者件数を減らせるとしている。ただ、大気中のCO2濃度は2100年までに0.08%増え、気温も0.003度上昇する。だがその影響は限定的としている。

 

 新規制案には、現在、各州が独自に定めている燃費基準やゼロ・エミッション車(ZEV)規制の廃止も盛り込んだ。その標的は、カリフォルニア州だ。同州は大気浄化法(Clean Air Act)209条の適用除外により、連邦より厳しい燃費規制を実施中。また、同州の規制は他の13州とワシントンDCでも適用されている。

 

fordキャプチャ

 

 カリフォルニア州などでは、政府規制案と全面対決する意向を表明している。同州は全米最大の自動車市場。このため米国の自動車メーカーは連邦とカリフォルニア州の間で板挟み状態に陥った状態になっている。

 

 その中で、フォードなど4社は、連邦規制とカリフォルニア州規制の中間的な自主基準として2026年までに走行距離50マイルとする案をまとめ、カリフォルニア州大気資源局(CARB)の承認を得た。4社は全米50州での採用を目指しているという。

 

 これに対してDOJは、競争下にある自動車メーカーが相互に協議して、連邦規制案とは別の自主基準をまとめることは、反トラスト法違反に当たる疑いがあるとして調査に入ったとみられる。

 

 4社の自主基準には、当初、メルセデスベンツと他の大手一社(トヨタか?)の参加が近いとされていた。ただ、報道されたDOJの調査対象は、今のところ4社だけとなっている。

https://hondanews.com

https://www.cnet.com/roadshow/news/bmw-ford-honda-volkswagen-doj-investigation-california/

https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/08/5335d10f2b1173bb.html