HOME4.市場・運用 |東京商品取引所、初の電力先物の試験取引を開始。初日は来年1月物で1kWh当たり11.50円の初値。3年後に本格運用へ。電力価格安定に資する期待(RIEF) |

東京商品取引所、初の電力先物の試験取引を開始。初日は来年1月物で1kWh当たり11.50円の初値。3年後に本格運用へ。電力価格安定に資する期待(RIEF)

2019-09-17 17:24:15

toko1キャプチャ

 東京商品取引所(TOCOM)は17日、電力先物取引を試験的に始めた。3年前の小売電力自由化で新電力事業者の電力調達需要が高まっていることに対応し、欧米のように将来の電力を売り買いする「先物取引」を導入することで、価格変動に備えられるようにするもの。電力市場の安定化にもつながると期待される。本格運用は3年後の予定。

 (写真は、取引開始の鐘を鳴らす東証取の浜田隆道社長㊧)

 取り引きが始まった午前8時45分に、4か月先の来年1月物の24時間分の商品で、1kWh当たり11.50円の初値がついた。TOCOMへの新規上場は2018年10月の天然ゴム「TSR20」以来。

  初値は、 再生可能エネルギーの固定買取価制度(FIT)」による太陽光発電の直近の落札価格の10.50円/kWh(最低落札価格)を1.0円上回り、全体の加重平均落札価格の12.98円/kWhより、2.48円下回った。

 取引する先物商品は、需要の多い平日の日中の電力を対象とした「日中ロード電力」と、休日分を含む丸一日分を取引する「ベースロード電力」。それぞれ東日本と西日本の取引エリアに分けた4種類。取り引き単位電力は24時間分と12時間分で、100kWhごと。

toko2キャプチャ

 取引の立会い時間は日中が 8:45~15:15。夜間が16:30~19:00。それぞれの開始時と終了時の一日4回、シングルプライスオークション(板合わせ:もっとも多い注文の価格で成立)を実施する。

 取引参加は、TOCOMの取引参加者の資格を得て自己取引・自己清算を行うか、参加資格を得たうえで、商品先物取引業者に口座を開設、委託取引を行う方法、さらに資格なしで、先物取引業者に委託する方法の3通りがある。取引資格取得には、信認金100万円と取引資格取得料1000万円(試験取引期間は無料)のほかに、月額の参加料がかかる。


 先物取引の利点は、まず価格変動リスクヘッジ効果がある。スポット価格の大きな変動があっても安定的に調達できるほか、スポット市場の価格も安定化する。その結果、電力調達に占めるスポット調達量が増える。

 また電力事業者に信用リスクヘッジ手段を提供することで、新規事業者の参入を促す効果もある。取引相手の与信管理の合理化に資する。さらに電力スワップ等、相対取引の時価評価の基準となることで、電力売買の経営判断に役立つ。電力フォアードカーブを提供できるようになる。

 東京商品取引所の濱田隆道社長は「相場感がまだない中で取り引きが成立するか心配だったが、ほっとしている。電力先物は海外でも時間をかけて育った市場。今後じっくりと懸命に大きく育てていきたい」と話している。

 https://www.tocom.or.jp/jp/electricity/index.html