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米グーグルの従業員ら、「会社全体での気候計画」の立案を求める「公開レター」公表。気候変動の否定論者等への寄付の禁止等も。

2019-11-05 17:25:04

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  トランプ大統領がパリ協定からの米国の離脱を正式に国連に通告した。一方で、グーグルの1100人以上の従業員は、全従業員に向けて「会社全体での気候計画」への賛同を求める公開レターに署名した。計画では、化石燃料関連産業との契約解約や、気候変動否定論者への寄付の停止等を盛り込んでいる。トランプ氏への寄付停止ということになる。

 

 公開レーターは、 「Google Workers for Action」の名を冠して、 グーグルのCFOのRuth Porat氏に提出された。提案する計画には、①2030年までに同社全体がゼロエミッションを達成すること②化石燃料の掘削をしたり、加速するような契約をゼロとする③気候変動否定論や懐疑論のシンクタンクやロビイスト、政治家への寄付をゼロとする④難民や、人々の抑圧、コミュニティでの紛争等に関与する企業・機関との関係協力をゼロとするーーの4点を盛り込むよう求めている。

 

グーグルの「気候行動」を求めて行進する従業員ら
グーグルの「気候行動」を求めて行進する従業員ら

 

 公開レターに署名した一人、グーグルのsenior technical writer のSharon Campbell-Crowさんは「技術労働者として、世界中の人々生き生きとして暮らせる未来のために思い切って行動する機会を数百万人の人々に作り出せるなんて、素晴らしいことだ。世界中で、すでに温暖化の影響を受けているコミュニティは、これまでも『気候正義』を求めて行動している。グーグルはそうした動きに追いつき、気候否定論者へのファンディングを停止すべきだ」と意義を語っている。

 

 すでに他のグローバルIT企業でも、アマゾン、マイクロソフトなどの従業員は同様のキャンペーンを展開している。今年の9月20日の国連気候行動サミットに際しては、IT産業の労働者の多くが、抗議行動に参加した。

 

 グーグルは年次環境報告書において、すでに2007年からカーボン・ニュートラルを実現しており、操業に伴う電力・光熱費等は100%再生可能エネルギー由来の電力に切り替えていることを宣言している。その一方で、温暖化に否定的な言動をとったり、環境保護を後退させることを目指す多くの機関に対して多額の寄付をしているという。その代表的な存在が、米共和党系の非営利シンクタンク、Competitive Enterprise Institute(CEI)だ。CEIは、トランプ大統領のパリ協定からの離脱を側面的に支援してきたという。

 

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 公開レターが「気候否定論や遅延を主張するシンクタンク、ロビイスト、政治家へのゼロ寄付」を要求しているのは、こうした実態があるためだ。 Google Workers for Action によると、グーグルは2018年中に、気候変動関連の規制法案に少なくとも90%は反対票を投じた111人の議員に対して政治献金をしてきたという。

 

 グーグルのCEOのSundar Pichai氏は、気候行動サミットの際、メディアに対して、 「(CO2排出ゼロ)は、私は無理だとは思わない。われわれはもっと野心的であるべきと思う。われわれがやり遂げたいと思うことによって、そうした可能性は実現する」と前向きな姿勢を強調している。グーグルの従業員らは、こうしたCEOのコメントを踏まえ、会社として気候変動対策を積極的に推進する公式なコミットメントをトルコとを求めている。

 

 またレターが化石燃料関連企業との契約解除を求める点は、石油・ガス産業に対する、クラウド・コンピューティング・サービスの提供を指す。グーグルは、AI(人工知能)を使って、化石燃料企業のデータ分析等の処理サービスも提供しているという。従業員らは、「自分の仕事によって生み出された利益が、化石燃料産業の活動を支え、加速することに使われるというのは、我慢できない」「化石燃料の新たな資源開発や、掘削の促進等にグーグルの技術が使われるのは受け入れ難い」などと反発している。

https://www.theguardian.com/technology/2019/nov/04/google-workers-climate-plan-letter#img-1

 

https://medium.com/@googworkersac/ruth-porat-497bbb841b52