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ヤンマー、稲作農業で発生する「もみ殻」専用の熱電併給の「小型ガス化発電システム」開発。国内農家だけでなく、アジア等米どころの市場への輸出も視野に(RIEF)

2019-11-19 15:58:21

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 ヤンマーホールディングスは、稲作農業で発生するもみ殻を活用し、熱と電気を供給する資源循環型の「もみ殻ガス化発電システム」を開発した。もみ殻を燃料に特化した小型ガス化発電システムは国内では初めて。国内での活用だけでなく、東南アジア等への輸出も視野に入れている。

 

 開発したのはグループ会社の「ヤンマーエネルギーシステム」(大阪市、YES)。稲作農業で大量に発生するもみ殻は、以前は、野焼きが主流だった。しかし、環境への影響で禁止され、現在は、一部がたい肥などに利用されるぐらいで、エネルギー源としての活用は十分ではない。

 

 また農業残渣であるもみ殻は、そのまま焼却すると有害物質である結晶質シリカが発生する課題があった。YESの開発システムは、同社の特許技術によってシリカを発生させない焼却が可能という。

 

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 国内全体では年間200万㌧のもみ殻が発生する。YESはこれらを燃料としてガス化するとともに、、熱電併給も行える小規模分散型のもみ殻ガス化発電システムを開発した。開発したシステムは、今般、農業法人の限会社フクハラファーム(滋賀県彦根市)で本格的な実証発電(15kW)を始めたという。年間発電量は7万5000kWh。

 

 フクハラファームは、彦根市南部の稲枝地区を中心に本州最大規模の約200haの農地で有機栽培の米作りや野菜作りを展開している。農作業に伴い、毎年およそ200㌧のもみ殻を処理している。https://fukuharafarm.co.jp/

 

 今回、ヤンマーの発電システムを導入することで、もみ殻処理問題を解決できるとともに、発電した電力を自家消費することで省エネ効果も期待できる。また、もみ殻を燃焼させた後に残る「くん炭」を農地に還元することで、エネルギーの地産地消に加え、有害物質を発生しないトリジェネレーションシステムとして資源循環型農業に貢献できるとしている。

 

 稲作が盛んな東南アジア諸国でも、もみ殻の廃棄物処理と、エネルギー・電力確保、温暖化対策等の需要が高まっており、輸出需要も大きいとみられる。

https://www.yanmar.com/jp/news/2019/11/14/64235.html