デンマーク電力大手の「エルステッド」社、償還期間1000年の「グリーンハイブリッド証券」発行。総額6億ユーロ。風力発電建設費用のリファイナンス。6.7倍の応募倍率で人気に(RIEF)
2019-12-03 08:05:01
デンマークの電力会社で、世界最大の洋上風力発電設備を運営するエルステッド(Ørsted A/S)社が、償還期間1000年というグリーンハイブリッド証券を6億ユーロ(総額約720億円)を発行した。期限付きの証券で1000年の償還期間を設定するのはあまり例がない。同証券は投資家の人気を呼び、発行額に対して6.7倍の応募があったという。
エルステッドは元々、デンマークの国営電力・ガス会社で現在も政府が過半数の株を所有している。、2013年に独シーメンスと共同でユトランド半島沖にデンマーク最大の洋上風力発電所Anholt Offshore Wind Farmを建設したほか、北海の英イングランド北東部沖のHornsea Wind Farm、台湾・彰化県沖のプロジェクトも手掛けるなど、グローバルに風力発電事業展開している。
今回の超長期のグリーン証券(Green Hybrid Capital Securities)発行は、2015年に発行したハイブリッド資本証券6億ユーロ(クーポン3.0%)の償還期限が2020年11月に来ることを踏まえて、リファイナンス資金の調達として発行する。
償還期間1000年なので、西暦3019年12月9日が期限となる。ただし、発行から8年後の2027年12月までは固定のクーポンレート1.75%。その時点で発行体のエルステッドがコールオプション(買い取り権限)を行使できる設定だ。
発行価格は99.079%。投資家の人気が高く、6.7倍の応募超過となった。証券はルクセンブルグ証券取引所が開設しているルクセンブルググリーン取引所(LGX)に上場される。
「1000年償還」のグリーン証券は、エルステッドの「グリーンファイナンス・フレームワーク」に基づいて発行された。同フレームワークは、ノルウェーのESG評価機関Ciceroが示す3段階のグリーン評価の中で、もっとも高い「ダークグリーン」の評価を得ている。
JPモルガン証券がグローバルコーディネーターと共同主幹事を務めた。共同主幹事にはこのほかCitigroup Global Markets Limited、デンマークのDanske Bank A/S、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下のMUFG Securities EMEA Plc.A/Sも参加した。
エルステッドは一般社債の信用格付としてMoody’sからBaa1を、S&PとFitchからそれぞれBBB+を取得。今回のGreen Hybrid Capital Securitiesの格付は、Moody’sがBaa3、S&PがBB+、FitchがBBB-をそれぞれつけている。
https://orsted.com/en/Company-Announcement-List/2019/11/1953345
https://orstedcdn.azureedge.net/-/media/WWW/Docs/Corp/COM/Investor/Financial-reporting/Green-Bond-Framework/Orsted_Green_finance_framework_April2019.ashx?la=en&rev=9aeecac3f8234c93b735c58f400e3ad4&hash=47596CDB15D6EE692BF47E8D4676CC29