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太陽光関連事業の経営状況は「順調」。増収企業が減収企業を2ケタポイント上回る。倒産企業数も6年ぶり減少の見込み。太陽光関連事業に「光」が広がってきたか(RIEF)

2019-12-23 08:22:30

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 帝国データバンクは太陽光関連事業者の経営実態調査を公表した。それによると2017、18年の両年度は増収企業数が減収企業数を上回り、特に18年度は黒字企業数の増加が大きく、業績の好調さが浮き彫りになった。同社が別途発表した2019年度上半期(4-9月)の太陽光関連業者の倒産件数は36件と、前期より23.4%減とブレーキがかかり、今年度は年間でも6年ぶりに減少する見通しだ。

 

 同社が太陽光関連のすべての業種企業の経営実態調査を行ったのは今回が初めて。対象は太陽光関連事業者1万7841社。調査項目は、①業態別②売上規模別③地域別④業歴別⑤売上高増減⑥損益。

 

 太陽光発電システム販売など関連事業を「主業」とする企業、本業は別にあり「従業」として太陽光関連事業を手がける企業の両方を調べた。「主業」企業が18.3%、「従業」企業が81.7%。このうち、経営が順調なのは、「従業」企業での増収傾向が顕著だった。

 

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 全体的な経営状況では、2016年度は売上高の増収企業(39.1%)と減収企業(39.4%)は、ほぼ拮抗していた。だが、17 年度には増収(42.4%)、減収(32.0%)32.0%)と、増収が10ポイント上回り、18年度も増収(39.7%)、減収(29.5%)と10ポイントの差を維持した。増収・減収比率の差は「従業」の企業の場合、両年度とも12ポイントで、主業(17年度1.5%、18年度2.5%)よりも大きかった。

 

 損益動向も、調査対象とした2015年度の黒字企業数が82.4%だったのをはじめ、18年度まで一貫して80%台を続け、18年度には85.6%にまで拡大している。赤字企業数は17.6%から14.4%(18年度)へと着実に低下している。

 

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 帝国データでは、太陽光発電事業者の経営状況がしっかりしていることの背景として、当初の固定価格買取制度(FIT)価格が高く設定されていたため安易な参入企業も混在していた時期からの転換を指摘する。

 

 当初の事業者膨張期以降、FITの価格引き下げに対応できる企業が、生き残りのため、最適な立地の選定、高効率の太陽光発電システムの設計・施工、効果的なファイナンス手法、オペレーションやメンテナンスの低コスト化などを進めてきた。

 

 また、グローバルな太陽光パネルの価格低下や、国内の施工コストの低下も広がってきて、事業としての継続性が高まっている、と分析している。この点は、これまで同社が分析してきた太陽光関連事業者の倒産情報分析でも「変化」として表れている。

 

調査対象となった対抗発電関連企業の業種別内訳
調査対象となった対抗発電関連企業の業種別内訳

 

 今回明らかになった太陽光関連事業を「従業」として手がける企業の多くが、事業の安定性を支える構造になっている点も見逃せない。事業者全体の約 8割を占める従業企業は、 業歴が長く、営業基盤の確立した本業で安定した収益をあげながら、サイドビジネスの太陽光事業との相乗効果を生み出しているところが多い。

 

 特に太陽光発電事業はいったん稼働すると、安定的な収益を長期にわたってもたらすため、本業の事業を支える効果も、期待できるようだ。従業企業の構成を見ると、本業が年商10億円に満たない企業が 全体の約7割、業歴も10年未満の若い企業が約4割を占めている。

 

 2019 年度上半期(4~9 月)の太陽光関連業者の倒産件数は 36 件。前期(2018 年度下半期)の 47 件から 23.4%の減少となった。半期ベースでは 2 期連続の前期比減少だ。2014 年度以来、5 年連続で太陽光関連業者の倒産は増加してきた。

 

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 だが、2019 年度は通年でも 6 年ぶりの減少に転じる可能性が高い、という。負債総額も過去最高だった2016年度(363億円)の半分程度に下がり、3年連続の減少になりそうだ。

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p191205.pdf

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p191003.pdf