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京都・亀岡市議会、プラスチック製レジ袋提供を禁じる全国初の条例可決、成立。来年1月施行。環境省の「有料化」策の限界を打破。新型コロナウイルス拡大の場合は、実施延期も(RIEF)

2020-03-24 17:21:50

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 京都府亀岡市は、スーパーや小売店等でのプラスチック製レジ袋の提供を禁止する全国初の条例を24日、市議会で可決、成立させた。2021年1月1日に施行する。政府(環境省)は今年7月から全国の小売店等でのレジ袋有料化を義務付けるが、亀岡市はさらに一歩進めて、レジ袋の提供自体を禁止する。

 

 同市が環境省よりも厳格なレジ袋規制を導入するのは、同市の観光資源である保津川をプラごみ汚染から守るのが最大の目的としている。同川には国の天然記念物「アユモドキ」をはじめ多様な川の生態系が形成されている。亀岡市と亀岡市議会は2018年12月「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を行っている。http://rief-jp.org/ct12/85512

 

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 一方、環境省が実施するレジ袋有料化策は、経済的手法を活用した環境政策として古くから知られる。だが、お金さえ出せばレジ袋は買えることから、欧州等では「効果が限定的」と評価され、亀岡市同様のレジ袋禁止の義務化への流れが広がっている。環境省はレジ袋製造メーカーや流通業界に配慮した形だ。

 

 亀岡市の措置は、同市内のスーパーやコンビニエンスストアなどの小売店約760店舗が対象になる。プラスチック製だけでなく、紙や生分解性プラスチックを使ったレジ袋も無償提供を禁止する。消費者はマイバックを持参することが求められる。

 

 この措置に違反した場合、事業者に対して市が指導勧告を出す。それでも改善が見られない場合は、事業者名を公表するとしている。

 

 各紙の報道によると、同市の桂川孝裕市長は「保津川がドブ川になれば、市の存在感低下につながる。この豊かな自然を次代に残さねばならない。環境先進都市になれば移住者の増加や事業所の移転も見込める」等と説明している。

 

美しい自然を楽しむ保津川下り
美しい自然を楽しむ保津川下り

 

 ただ、新型コロナウイルスの影響で、住民らが食料品や紙製品等をまとめ買いする動きが各地で起きている。そうした場合、マイバックでは対応できない可能性もある。また小売事業者の中には、プラスチック製レジ袋以外の包装需要が高まり、コスト高になることへの懸念も根強いという。

 

 こうしたことから、同市は当初、条例の施行日を8月としていたが、コロナウイルスの影響を考慮して、施行日を来年1月にずらした。違反した事業者名の公表開始時期も来年4月から同6月に遅らせる。議会は条例施行までに必要な対応策を講じる点や、コロナ感染拡大の状況などに応じて、施行日の延期を検討することもある得るとする付帯決議を付けた。

 

 同市を流れる保津川は、最大の観光資源。有名な川下りに加え、同市と京都市を結ぶ川沿いのトロッコ列車の利用者は年間120万人にのぼる。こうした自然環境を守るため、市は2030年までに使い捨てプラスチックごみをゼロとする目標を掲げ、全国に先駆けてのレジ袋禁止条例の実現に取り組んできた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57155460U0A320C2000000/?n_cid=SPTMG002