HOME10.電力・エネルギー |英国、18日間連続で「石炭火力無し」電力を実現。産業革命以来の記録。新型コロナウイルスによる経済活動低下の影響もあるが、太陽光発電増大も寄与。2024年に石炭火力全廃へ(RIEF) |

英国、18日間連続で「石炭火力無し」電力を実現。産業革命以来の記録。新型コロナウイルスによる経済活動低下の影響もあるが、太陽光発電増大も寄与。2024年に石炭火力全廃へ(RIEF)

2020-04-28 16:26:57

ClalUK2キャプチャ

 

  英国が28日、石炭火力発電の電力に頼らず、18日間連続で全国に電力を供給する記録を立てた。産業革命以来、もっとも石炭に依存しなかった長期連続日数記録を更新した。新型コロナウイルス感染の影響で、経済活動が低迷していることと、太陽光発電等の再生可能エネルギー発電が着実に増えていることが「石炭フリー(無し)電力」をもたらした。英国は2024年に国内の石炭火力発電所をすべて閉鎖する予定。

 

 英国主要部に電力とガスを供給しているナショナルグリッド(National Grid)によると、石炭フリーの電力は4月28日までの18日6時間11秒続いた。合計438時間。これまでの最長記録は2019年5月の256時間だったので、これを7割以上上回ったことになる。世界最初の石炭火力発電所は1882年にロンドンで稼働して以来の記録だ。

 

こうした光景も、もう必要がなくなる・・
こうした光景も、もう見なくて済むようになる・・

 

 例年、春は英国内での暖房需要が減少する。今年はこれに加えて、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校や店舗、工場等が閉鎖や休業状態になっていることで、電力需要全体が一段と低下した。たとえば、27日の一日電力需要量は平年の4分の1だった。加えて、太陽光発電の電力が増加、4月20日には過去最高の9.6GW以上の電力を太陽光だけで供給した。

 

 電力需要減の影響で、ナショナルグリッドは、電力網への風力発電や火力発電の系統連系の接続を一部停止する場合があるとも指摘している。

 

CoalUK1キャプチャ

 

 英国内には現在、4基の石炭火力発電所が稼働している。政府はいずれも2024年までに稼働を中止する方針だ。欧州諸国で石炭火力発電を全廃した国は、現在、ベルギー、オーストリア、スウェーデンの3カ国。フランスも2022年に全廃方針。英国はEUからは離脱するが、「石炭フリー電力」では、EU諸国と引き続き歩調を合わせることになる。https://rief-jp.org/ct8/101656?ctid=72

 

 すでに国全体の総電力使用に占める石炭火力電力の割合は、昨年で2.1%にまで下がっている。4年前は全体の4分の1を占めていたことから、急減したことになる。電力需要減に加えて、再エネ供給増での切り替えが進んでいるためだ。電力グリッド全体に占めるCO2比率(CO2排出量/1kh)は、2012年の507gから現在は161gで、約7割も減少している。

 

 現在残っている4基の石炭火力発電所は、2022 年から24年にかけてそれぞれ石炭の使用を中止し、天然ガス火力に置き換わる予定。日本も英国を見習えば、「脱石炭」が可能になる。

 

https://www.nationalgrideso.com/who-we-are/what-we-do

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