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北海道・寿都町の町長、原発から出る使用済核燃料等の高レベル放射性廃棄物の最終処分場の誘致に前向き発言。北海道知事は「道内に処分地受け入れの意思はない」とコメント(各紙)

2020-08-13 18:28:28

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  各紙の報道によると、北海道寿都(すっつ)町は原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場誘致に向けて、経済産業省が募集している文献調査への応募を検討していることが明らかになった。片岡春雄町長が述べた。2017年に経済産業省が処分場候補地になり得る地域を色分けした「科学的特性マップ」を公表後、文献調査の検討を明らかにした自治体は、同町が初めてになる。

 

 (写真:寿都町には風力発電設備が多数設置されている)

 

 北海道新聞等が報じた。同紙の取材に対して町長が「将来の町の財政を見据え、住民の意見を聞いて判断する」と話したという。町長は、文献調査に応募を検討する理由として、調査に伴い交付金が支給されることなどを理由に挙げた。今月下旬に開催予定の町民意見交換会の内容を踏まえ、9月にも方針を決めたいとしているという。

 

   これに対して北海道の鈴木直道知事は13日談話を発表し、「道では、『北海道における特定放射性廃棄物に関する条例』を制定し、『特定放射性廃棄物の持込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難い』ことを宣言している。条例は、平成12年に道議会での議論を踏まえ、将来とも道内に処分場を受け入れる意思がないとの考えに立つものであり、私としては、条例を遵守しなければならないと考える。道としては、寿都町に対し、速やかに考えを確認する」としている。

 

 

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 同町は、経産省が示す科学的特性マップで町の大部分が処分適地と評価された。そのため町は2019年度から国のエネルギー政策に関する住民の理解を進めるための勉強会を町内で開催してきた。また今年6月からは毎月、原子力発電環境整備機構(NUMO)による核のごみ地層処分の勉強会も開いているという。

 

 こうした住民への啓蒙活動を進める中で、処分地選定の第一段階と位置付けられる文献調査への応募を検討の俎上にあげる見通しだ。経産省は核のリサイクルを進める政策を推進してきたが、これまで最終処分場は国内のどこにもないという状況が続いている。2007年に高知県東洋町長が文献調査に応募した。だが、町民らの反対を受け撤回している。また16年には佐賀県玄海町が前向きな姿勢を示したが、17年の適地調査で外れている。

 

北海道新聞から
北海道新聞から

 

 報道によると、片岡町長は、文献調査を受けると最大20億円の交付金が出ることによる財政改善効果を挙げたという。町長は「住民との意見交換会で合意を得られるのであれば突っ込んで話をしていく価値はある」と話している。

 

 都町は日本海側の漁業が主産業の町。かつてはニシン漁等で栄えたが、現在は人口も3000人を割り込んでいる。沿岸部には風力発電設備が複数設置されており、これらの風車による年間の売電収入は年平均7.5億円で、町税収入(2億円強)を上回る。

 

寿都町の片岡町長
寿都町の片岡町長

 

 最終処分場の選定には、約20年をかけて3段階の法定調査を実施した後に決定する。実際の処分場の建設にはさらにそこから時間がかかる。今回検討対象となっている第1段階の文献調査は地質図を用い、活断層の有無や土地の浸食状況を確認する。調査を受け入れた自治体には年間で10億円程度の交付金が支払われるという。

 

 経産省の科学的特性マップによると、各電力会社の原発から廃棄される使用済み核燃料を一時保管する青森県六ケ所村の施設から、船で運びやすい沿岸部を有望地域として示している。ただ、2011年3月の東京電力福島第一原発事故の後、全国で原発再稼働に反対の動きが広がっており、これまで最終処分場の誘致に名乗りを上げる自治体はなかった。

 

 仮に寿都町で住民の受け入れの方向が高まっても、北海道自体が条例で核のごみを持ち込ませないことを定めており、最終処分場の建設に至る道は容易ではない。

 

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/449952/

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/gcomment/r2/r020813.htm