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中部電力。浜岡原発の「基準地震動(想定する最大の地震)」データを改竄。原子力規制委の審査対応で。規制委委員長「安全規制に対する暴挙」と叱責。再稼働審査白紙に(RIEF)

2026-01-08 01:15:09

Chubuhamaoka2026-01-08 004942

写真は、中部電力の浜岡原発=同社サイトから引用)

 

 原子力規制委員会は7日開いた定例会議で、中部電力が休止中の浜岡原発での耐震評価の目安となる「基準地震動(想定する最大の地震の揺れ)」の審査データを故意に過小評価していた疑念が発覚した問題で、再稼働に向けた同委の審査を停止する方針を決めた。山中伸介委員長は記者会見で「(中部電力の対応は)安全規制に対する暴挙だ。審査そのものをやり直す必要がある」等と述べ、審査を白紙に戻す考えを示した。同電力は東京電力とともに、両社の石炭火力発電事業を切り離して移管したJERAの親会社でもある。

 

 中部電による基準地震動データの改竄は、2018年ごろに始まったとされる。原子力規制庁に昨年2月ころ、外部からの情報提供があり同庁が調査を進めていた。同庁及び規制委自体、情報提供があるまでの7年間にわたり、中部電力のデータ改竄を見抜けなかったことになる。電力会社が作成する審査データを前提にして、当該電力会社の取り組みを審査する規制委の現行の体制の限界も露呈した格好だ。

 

 中部電が公表した事後調査によると、同社の改竄方法は2つの手法に分かれている。同社は再稼働の審査対象となる基準地震動の評価に使う「統計的グリーン関数法」と呼ばれる手法について、計算条件の異なる20組の地震動を導き出した上で、平均値に最も近い波を「代表波」に選定すると、規制委に説明していた。

 

 ところが、2018年までは、「20組とその代表波」のセットを同社の社員が多数作成し、その中から同社にとって都合の良い数値を意図的に選んで示していたという。また18年以降には、多数の地震動のデータの中から、同社にとって好ましい揺れの波をまず最初に代表として決め、その波が審査対象となる20組の平均に最も近くなるよう、都合の良い他の19組のデータを選んでいたとしている。

 

中部電で行われていた地震データ改竄の2つの手法
中部電で行われていた地震データ改竄の2つの手法

 

 「基準地震動」データは、原発などの耐震設計の際に、同施設に大きな影響をもたらすと想定される最大の地震の揺れを示すものだ。活断層など周辺の震源や地盤の調査を基にして原発ごとに定める。東日本大震災時には、メルトダウンを起こした東京電力福島第一原発の敷地内で基準地震動を超える揺れが一部で観測されたことから、規制委の審査では基準地震動の見直しを進めている。

 

 中部電の浜岡原発は、東電福島原発の事故停止後、当時の菅直人首相の要請で操業を停止した。その後、すでに廃炉が決まっていた1、2号機は廃炉作業を進め、3、4号機については、2014~15年に再稼働に向けて規制委に審査を申請した。基準地震動の審査では、最大1200ガル(5号機周辺は2094ガル)とする方針で、23年9月には規制委から「おおむね妥当」の評価を得ていた。その後、規制委は施設の設計審査を進めていた。

 

 ただ、昨年2月に、原子力規制庁に外部からデータ捏造の情報がもたらされ、それ以降、同庁は情報の信憑性を確認するため中部電に資料の提出や説明を要求していた。一方で中部電は社内調査を進めた結果、昨年12月18日に同社は「不正行為を確認した」と同庁に報告した。データ改竄の事実が判明したことを受け、規制委も翌日以降の審査を中断していた。

 

 今回の中部電のデータ改竄は同社ぐるみの不正か、あるいは原発を担当する同社原子力部門の「独走」かは不明だが、同社が外部から「不正」を指摘するまで、対応できなかったことから、同社のガバナンスが機能不全に陥っていたことは明らかだ。同社は、昨年11月末に、原子力部門が浜岡原発関連の工事発注に際して、本来の窓口となる調達部門を通さずに直接工事を業者に依頼しながら、正式な契約を結ばないまま、長期間にわたり精算もしない不適切事案が20件もあったことを公表している。https://rief-jp.org/ct11/162716?ctid=

 

 原発を所管する部門がこのような「独走」をし続けているのか、あるいは、同社自体が原発再稼働を急ぐあまり、不正な手段に手を染めてきたのか。さらには、再稼働が認められた東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)を含めて、他の原発を抱える電力会社での安全性確認体制が本当に大丈夫なのかどうかを、改めて確認する必要があるのではないか。

 

 7日の定例会後の記者会見で、山中委員長は「これまで事業者(中部電)が述べてきたことの信頼性が全て疑われる」と述べ、審査が再開された場合でも最初からやり直す考えを明らかにした。さらに「安全規制に対する暴挙だ」と中部電を強く非難し、悪質性が高いと判断した場合には「(再稼働の)不許可もあり得る」との認識を示した。意図的にデータを改竄し、規制委の審査を欺こうとしたわけだから、「悪質性」が高いのは明白だ。

 

 浜岡原発は南海トラフ地震の想定震源域に位置しており、再稼働の条件として厳しい耐震性が求められている。中部電にとって基準地震動が大きくなれば、より高い耐震性が求められ、安全対策費が膨らむ可能性がある。経費削減と追加の対策工事によって再稼働がさらに遅れることを回避するために、データ改竄を行った可能性が高い。

                            (藤井良広)

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