中国で1基の発電量20MWという世界最大級の洋上風力発電設備の試運転と送電網への接続成功。選挙で大勝利した高市政権は、日中関係改善のために中国製風力発電を導入してはどうか(RIEF)
2026-02-10 01:02:17
(写真は、中国のCGTNのサイトから引用)
洋上風力発電所の巨大化を進めている中国で、世界初となる1基で20MWの発電が可能な超大型洋上風力発電所の試運転と、送電網への接続が成功裡に行われた。風力タービンの製造を手掛けた中国三峡集団によると、世界初の20MW級の洋上風力発電はローター(風車の回転部分)の直径が300mあり、定格運転条件下では、年間8000万kWh以上の発電が期待され、約4万4000世帯の年間電力需要を賄えるという。風力発電事業者が競い合う中国では、すでに1基で26MWの発電が可能な洋上風力発電設備も実用化が進んでおり、巨大化がさらに進んでいる。
中国国営テレビのCGTNによると、中国三峡集団が開発した20MW級洋上風力発電所は、今年1月中旬に中国南東部の福建省沖合で据え付けられ、稼働に向けて準備が進んでいた。
今回据え付けられ洋上風力発電所は、海岸から30km以上、水深40m以上の海域に設置されている。同海域では、モンスーン期には施工期間が短くなるほか、海況が複雑で、高所作業のリスクが大きいなどの複数の課題があるが、三峡集団の施工チームは持ち上げ能力2000㌧級の第4世代風力発電設置船を採用して作業を実施したとしている。

20MW級のブレードは長さ147mある。これを3本組み合わせる。それらの組合せ作業は設置海域の海上で行われる。まず、ブレードを1本ずつ、クレーンでいったん上空174mにまで吊り上げて、それらを回転させる支柱に設置したハブと1本ずつドッキングさせる。ハブの高さは174m(58階建てビルに相当)。3本がそろうと、ローターは回転範囲直径300mの広さで風を受ける。その面積は標準的なサッカー場の10面分近くに相当するという。
発電量は年間8000万kWh以上の発電が期待され、約4万4000世帯の年間電力需要を賄える。また年間約2万2000㌧の標準石炭に相当するエネルギーを代替可能で、CO2排出量を約6万4000㌧削減できるとしている。
また、今回試運転した20MWタービンに採用した中国製の翼型ブレードは、従来の製品に比べて、軽量設計とAIを使った設計の統合によって、MW当たりの重量は業界平均比20%以上削減され、風力捕捉効率と発電効率が大幅に向上したとしている。この点で中国当局は「本プロジェクトは、中国洋上風力発電のより深海域・遠海域への拡大に向けた重要な技術・設備支援を提供するものだ」と強調している。

中国の洋上風力発電の巨大化は、さらに続いている。すでに、昨年9月には、東方電気集団有限公司の風力発電部門(東方電気風電 : Dongfang Electric Wind Power Co)が、1基で26MWの発電能力を持つ世界最大の巨大風力発電設設備を洋上で建設している。同発電所は、風車のブレードの長さが153m、ローターは直径310m、ハブの高さが50階建てのビルの高さ等と、いずれも今回の20MW級のサイズより一回り大きい。https://rief-jp.org/ct4/160434?ctid=
中国製の風車はただ大きいだけではない。今回の20MW級では軽量化技術を導入しているほか、準備が進む26MW級では、海域に設置する洋上風力発電設備が、周辺の海水からの塩害や霧による風車の躯体への腐食への対応策を、夏に頻発する台風などへの対処策等も盛り込んでいる。台風対策では風車設備を完全密閉式構造とすることで、洋上での25年の耐用年数を満たせるとしている。さらに、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた二重の耐台風技術も導入し、過剰な強風による影響を軽減できる仕組み等を取り入れているとしている。
日本政府がGX政策で推進する洋上風力発電事業は、第一回の3件の入札事業を総取りした三菱商事が、その後の工事費高騰の影響で、3件の事業計画すべてで入札のやり直しという事態に陥っている。今回の中国の「巨大風力発電の実用化」の状況をみる限り、洋上風力発電の技術、コストの両面で、日本の同事業関連業界は、中国企業に大きな差を付けられているのは間違いない。三菱商事も、中国製の風力発電設備を導入していたら、コスト高騰で苦しまなくても済んだかもしれない。
だが、高市早苗首相の台湾有事発言以来、日中間の経済交流は厳しくなっている。そこで、日中関係を改善するために、中国製の洋上風力発電設備の導入を検討し、経済交流を深めるという手立てもあり得るのではないか、と提案したい。衆院総選挙で大勝した高市早苗政権にとって、日中関係の改善は最優先課題ではなくなったのかもしれないが、日中間では、「強風」や「無風」が続くよりも、「いい風」が吹く関係のほうが望ましいと思うがどうか。
(藤井良広)

































Research Institute for Environmental Finance