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東京都、小笠原の母島を再エネ100%の「ゼロエミッション・アイランド」に。年初から、実証事業に向けた調査準備開始。太陽光発電で電力の半分をまかない、残りも再エネ化を検討へ(RIEF)

2018-12-29 22:53:07

ogasawara2キャプチャ

 

 東京都と小笠原村は、東京電力パワーグリッド(東電PG)と連携し、同村の母島に太陽光発電パネルと蓄電池等を設け、同島で利用するエネルギーを100%再生可能エネルギーに切り替える実証プロジェクトに向けた取り組みを2019年の年明けから始める。今後、1年のうち半年程度を太陽光発電のみで電力供給を実現させる。3年間の調査でめどがつけば、2022年からCO2を排出しない「ゼロエミッション・アイランド」の実証事業を展開する予定だ。

 

 (写真は、小笠原諸島返還50周年で母島を訪れた小池百合子東京都知事(中央)を歓迎する島民ら=2018年7月1日)

 

  東京都の小池都知事は、今年7月1日に小笠原諸島(小笠原村)返還50周年を記念して母島で開かれた式典で、今回のプロジェクトの実施を表明していた。今回の取り組みはこうした東京都の方針と、小笠原村が目指す自然と調和した「サステイナブルアイランド」の実現に寄与することになる。

 

太陽光発電設備の設置候補地
太陽光発電設備の設置候補地

 

 実証プロジェクトでは、島内の複数カ所に太陽光発電パネルを設置するほか、出力変動に対応するために、定置型の蓄電池システムも導入する。太陽光パネル等の設置場所は、世界自然遺産区域を避けて、区域外の圃場跡などの都有地・村有地等を候補としている。

 

 候補地となっているのは、島南部の評議平・畜産指導所跡地(都有地)、旧へリポート周辺畜産指導所跡地(同)、中ノ平農業団地研修圃場(村有地)、蓄電池設置場所は母島発電所内敷地(東電PG所有地)とされる。

 

 今後、自然環境調査や専門家の意見等を踏まえて建設地を決め、建設工事等を進める予定。順調にいけば、3年後の2022年から実際の実証事業を開始するという。実証では、太陽光発電による電力供給を継続するとともに、更なる再エネ発電の拡大も目指し、将来の再エネ100%の達成を目指すとしている。

 

 ただし、実証プロジェクト期間中は、太陽光発電で使用電力の半分をまかなうが、残りの半分は現在使用しているディーゼル発電などを併用する。

 

 母島は、小笠原の中心島である父島から南へ約50kmの洋上にある。南北に細長く、山には亜熱帯の高木林が生い茂る。地球上で母島でしか見られないメグロが生息することで知られる。観光にも力を入れており、ダイビングで訪れる人も増えている。父島二見港から定期船で約2時間で到着する。

 

 面積約20㎢で、人口は約500人。現在は島の南部にある最大出力960kWのディーゼル発電所「母島内燃力発電所」が主な電力源となっている。年明けの2019年1月からはまず自然環境調査を始める。2022年度末から設備の運用検証に着手する予定という。

 

https://www.vill.ogasawara.tokyo.jp/hahaene100/