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東電、中部電、日立、東芝の4社。沸騰水型軽水炉(BWR)事業の共同化で基本合意。東電・東通原発(青森)の建設再開目指す。将来は共同出資会社も(RIEF)

2019-08-29 13:40:53

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 東京電力ホールディングス、中部電力、日立製作所、東芝の4社は28日、原子力発電事業の共同化に向けた基本合意を結んだと発表した。4社は沸騰水型軽水炉(BWR)事業に取り組んできた企業で、今後、BWR原発の保守管理をはじめ、建設や運営につなげる「サステナブルな事業体制の構築」を目指す、としている。将来の共同出資会社の設立も視野に入れて協議を進めるとしている。

 

 (写真は、共同事業化の対象とみられる青森県の東電東通原発の完成予想図)

 

 基本合意書によると、共同事業化の目的は①安全性・経済性の向上②人材、技術、サプライチェーンの維持・発展に向けたサステナブルな事業体制の構築、の2点をあげている。

 

 今後の検討の方向性としては、①メーカー、電力会社のこれまでの技術・ノウハウを蓄積、原発の建設・運営・保守・廃炉をより安全勝つ効率的に実施する体制の構築②長期的な安定供給に資する新たな安全路の設計等に向けた研究・技術開発の一元化③資産・人材等のリソースの有効活用ーーをあげている。

 

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 共同事業化の対象には、建設が中断したままの東電の東通原発(青森県)を4社の共同事業として取り組むことを、具体的な共同化事業の一つ、と位置づけた。東電が抱える福島第一原発と第二原発の廃炉は、共同事業化の対象外として、引き続き東電が主体となって取り組む。

 

 東電は、東通原発を4社共同事業で再開する一方で、自らは柏崎刈羽原発(新潟)の再稼動を推進する考えとみられている。一方、中部電力は浜岡原発(静岡)の再稼動見通しが依然、得られず、共同事業化で原発の保守・管理でのコスト削減を促進したい考えとされる。 中部電、東電が保有するBWR原発10基(廃炉決定の原子炉は除外)はいずれも停止したままで再稼働のめどが立っていない。

 

 共同事業化で、既存のBWR原発のコスト負担をシェアし、次世代の小型炉などの新型原発開発で光明を見出そうという狙いのようだ。だが、BWR型の原発は、東電事故以降、国内で稼動していないだけではなく、海外での建設計画も行き詰まっている。このため、日立は英国での原発新設計画を凍結し、東芝は海外の原発事業から撤退している。

 

 4社は事業の共同化では合意したが、事故が起きた際の責任分担ではメーカー2社と電力2社の距離感は埋まっていないとされる。