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米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)、初の水先物取引「ナスダック水指数」を7日に上場。カリフォルニア州の水取引価格を対象に(RIEF)

2020-12-04 16:52:55

Califorina001キャプチャ

 

  米先物取引所のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)はナスダックと共同で、水の先物取引を今月7日に上場する。上場するのは「ナスダック・ヴェレス・カリフォルニア水指数(Nasdaq Veles California Water Index : NQH2O)」。同指数は農家や企業などがカリフォルニア州で売買している水の使用権に関する価格を加重平均して算出する。水取引指数の先物上場は世界でも初めて。

 

  CME GroupのGlobal Head of Equity Index and Alternative Investment Productsである Tim McCourt氏は「2025年までに世界の3分の2近くの人々が、水不足に直面する。水不足は世界のビジネス、コミュニティの日常生活にとって増大するリスクとなっている。特に1億1000万人を抱えるカリフォルニアでは深刻だ」と水不足の影響を指摘する。

 

 7日に上場する水先物の取引単位は、指数に10を乗じた10エーカー・フィート(水量約123万㍑)当たりの価格。毎週水曜日に、1週間分の取引データを集計、更新する。決済期は3月、6月、9月、12月の年4回。2年先まで価格を確定できる。現物の受け渡しはなく、現金で決済する。

 

カリフォルニア州の河川等の表層水の取引価格の推移
カリフォルニア州の河川等の表層水の取引価格の推移

 

 ナスダックの水指数は2018年に開発されている。カリフォルニア州では農業従事者や市町村等で乾季の水需要確保のため、水取引が盛んにおこなわれている。水指数はこのうち、5地区の取引市場の価格を加重平均して総合化、週単位で価格を提示している。同州での水取引市場の規模は年間10億㌦と推計されている。

 

 過去10年間の平均では、水取引の需給主体は、農業部門が67%を供給しつつ、乾季には需要の15%を占めるなど、季節要因で変動する。平均すると供給側では農業部門が最も大きなウエイトを占め、年間を通じて水需要のある市町村が需要側の44%を占めている。市町村も供給面で農業部門に次ぐ16%を占める。環境保全のために水需要を確保する買い手(NGO等)も需要側の26%を占める。

 

水先物指数の2013年以降の推移
ナスダック水先物指数の2013年以降の推移

 

 農業部門や市町村が供給側と需要側で一定のウエイトを持つように、季節要因によって需給変動するが、経年的にみると、温暖化の進行による干害の広がり、住民増による水需要増大の両方の要因が影響して需要がタイトになる。水指標の価格は2013年以降でみると、200㌦から800㌦の間で変動するなど、かなり大きなボラティリティがある。降雨や干害の気候変動の影響を受けるためだ。ただ、傾向としては右肩上がりで推移している。

 

 水取引指数が上場されると、たとえばカリフォルニアの農業従事者は、農場の灌漑に必要な水資源を確保するため、先物を購入しておくことで、乾季の水使用の価格上昇を抑えることができる。また製造工程で大量の水を使う製造業や飲料水を平均して確保する必要のある市町村も、異常気象時に備えて先物で水資源の調達コストを安定化できるようになる。取引の上場は、気候変動への適応対策に貢献するとみられる。

 

https://www.nasdaq.com/press-release/cme-group-announces-dec.-7-launch-of-nasdaq-veles-california-water-index-futures-2020

https://www.cmegroup.com/media-room/press-releases/2020/9/17/cme_group_to_launchfirst-everwaterfuturesbasedonnasdaqvelescalif.html