HOME8.温暖化・気候変動 |英大手銀行HSBC、石炭火力・鉱山向け投融資をOECD諸国内では2030年までに、その他地域も40年までに停止を宣言。5月の株主総会で決議。株主提案のNGO・投資家グループと“合意”(RIEF) |

英大手銀行HSBC、石炭火力・鉱山向け投融資をOECD諸国内では2030年までに、その他地域も40年までに停止を宣言。5月の株主総会で決議。株主提案のNGO・投資家グループと“合意”(RIEF)

2021-03-12 16:49:45

HSBC001キャプチャ

 

 英大手銀行のHSBCは11日、石炭火力発電と石炭鉱業向けの投融資を2030年までにEUとOECD諸国市場で停止し、40年までには世界全体で停止する方針をまとめ、5月の株主総会で議案として提案することを明らかにした。パリ協定の目標に適合する中期目標も設定する。同行は資産運用機関のAmundi等を含む投資家グループから、気候対応の明確化を求める株主提案を突き付けられていた。

 

 今年1月、英キャンペーングループのSchareActionが主導する形で、資産運用機関のAmundiやMan Groupなど、総額2兆4000億㌦の運用資産を抱える投資家グループが、HSBCに対して、パリ協定と整合した化石燃料向けファイナンスへの縮小を求める株主提案を突き付けていた。

 

 今回のHSBCの石炭関連投融資の段階的停止方針は、この投資家グループとの調整を経たもので、同行の発表に合わせてSchare Action等は当初の議案を取り下げた。ただ、「HSBCの今回のコミットメントの実行が不十分だと、2022年の株主総会での行動もあり得る」と指摘している。

 

 英銀を含む欧州大手銀行に対する石炭関連投融資停止を求める株主提案は、昨年の株主総会で、同じShareActionが英銀バークレイズ銀行に対して、石炭関連投融資の停止を求める議案を出した先例がある。これに対してバークレイズ銀は、「2050年ネットゼロ銀行になる」との逆提案をし、株主総会で機関投資家の支持を受け、ShareActionの議案を退けた。

 

 今回、HSBCはバークレイズのように、株主総会で対抗する方式はとらず、ShareAction側の主張を組み込んだ議案を自ら提出する形をとった。投資家との「対決」姿勢を打ち出すことのデメリットを重視したのと、いずれにしても「脱炭素」を経営戦略に据える必要は避けられないとの判断によるとみられる。

 

 銀行に脱炭素経営への転換を求めるために株主提案をする取り組みは、わが国でも昨年、みずほフィナンシャル・グループに対して、環境GOの気候ネットワークが実施、約3分の1の株主の支持を得た。

 

 英国での取り組みでは、NGOだけでなく、大手を含む機関投資家が共闘する形で株主提案を示した点で、銀行に対する圧力はより大きくなったと考えられる。日本でも、今後、「NGO+投資家連合」の取り組みが実施されることを期待したい。

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