HOME |英金融大手HSBCが株主総会で、石炭関連投融資を先進国市場で2030年まで、その他市場で2040年までに全廃の議案、99.71%の賛成で成立。機関投資家の要請を反映(RIEF) |

英金融大手HSBCが株主総会で、石炭関連投融資を先進国市場で2030年まで、その他市場で2040年までに全廃の議案、99.71%の賛成で成立。機関投資家の要請を反映(RIEF)

2021-05-29 01:03:56

HSBC003キャプチャ

 

  英大手金融機関のHSBCホールディングスは28日開いた株主総会で、石炭火力発電と発電用石炭鉱業向け投融資を、EUとOECD加盟国市場では2030年までに、その他のグローバル地域では40年までに、段階的に廃止することを盛り込んだ気候変動対策の議案を可決した。仏資産運用大手アムンディなどの機関投資家等の要求を受けて、会社側が会社議案として提案、99.71%の圧倒的な賛成票を集めた。

 

 HSBCは2020年10月、投融資ポートフォリオ全体に占める温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする方針を表明した。しかし、パリ協定の目標である「1.5℃目標」を達成するには不十分として、アムンディ等の15の機関投資家が今年1月、化石燃料関連の与信削減などを求める株主提案を出していた。HSBCは3月に株主提案を受け入れ、会社提案として脱炭素計画を株主総会に諮る姿勢を示していた。

 

 グループCEOのノエル・クィン(Noel Quinn)氏は「ネットゼロへのコミットメントは、われわれにとって戦略的選択だ。ゼロを達成するには、単に、高炭素排出企業の株等を売却する選択もある。しかし、その場合、それらの企業は、他の場所、他の金融機関から支援を受けないとの保証はできない。秩序立った移行も確保できないだろう。むしろ、そうした企業が気候フレンドリーな操業やクリーン技術に転換し、脱炭素化を図れるよう支援するパートナーになる選択をとるべきだ」と強調し、取引先企業へのエンゲージメント強化をアピールした。

 

 同氏は、そのうえで「われわれは、金融界のリーダーとして、できる限りの力で、総合的な転換を促進する責任を負っているとの固い信念を持っている」と決意表明した。

 

 総会で採択された議案は、パリ協定の目標に沿った脱炭素戦略の策定と履行を求める内容。石炭関連ファイナンスの段階的廃止とともに、同社の気候変動対策の戦略と進捗状況について、毎年報告することも義務付ける。21年の年次報告書から開示を実施する。

 

 HSBCは2005年以来、グローバルベースで石炭鉱業産業に対して総額21億ポンド(約3300億円)を投融資してきたほか、石油・ガス等の化石燃料開発事業にも英国金融機関で最も多額のファイナンスを続けているとされる。石炭鉱業の顧客企業にはAnglo American, Glencore-Xstrata、BHP Billitonの大手鉱業企業のほか、南米コロンビアのCerrejónで、先住民の複数のコミュニティごと開発する大規模な露天掘事業へのファイナンスにも手を染め、NGOや先住民等から批判を受けてきた。

https://www.hsbc.com/news-and-media/hsbc-news/shareholders-back-hsbcs-net-zero-commitments