国際金融公社（IFC）の「協調融資運用ポートフォリオ・プログラム（MCPP）」第3弾に、東京海上とSOMPインターナショナルが参加。IFCの途上国向け融資35億㌦に共同保険付与（RIEF）
2023-09-22 22:29:23
世界銀行グループの国際金融公社（IFC）は21日、開発途上国での社会課題解決を目的として、同地域の民間金融機関向け融資等を促進するための協調融資運用ポートフォリオ・プログラム（Managed Co-lending Portfolio Program : MCPP）による包括的な信用保険プログラムを組成した。同プログラムには世界13社の保険会社が参加し、日本からは東京海上日動が前回に続き参加したほか、SOMPOインターナショナルも、初参加した。プログラムでは、IFCが提供する総額35億㌦分の融資に保険を付与することで、今後6年間にわたり70億㌦以上の途上国向けの新規中長期融資の提供が可能になる。
MCPPは2013年に初めて実施されたIFCによる官民連携のファイナンススキーム。今回が第3弾だ。IFCが途上国の民間金融機関に提供する中長期の融資のうち、IFCと保険会社があらかじめ合意した基準を満たす融資に対して、包括的に信用リスクを引き受ける共同保険プログラムを提供する仕組みだ。これにより、IFCは融資の際の信用リスクを軽減できるため、より多くの資金を途上国の金融機関に供給できる。
今回のMCPPは、金融機関グループ（FIG）対象の第3弾ということで「MCPP FIGⅢ」と呼ばれる。参加金融機関は、前身の「MCPP FIGII）から参加しているリバティ・スペシャルティ・マーケッツ、ミュンヘン再保険、東京海上グループ（東京海上日動およびTokio MarineHCC）、アクサXL、エベレスト、アスペン に加え、今回から新たにハートフォード、スイス・リー、アクシス・キャピタル、HDIグローバル・スペシャリティ、アリアンツ・トレード、SOMPOインターナショナル、SCORが参加する。
同プログラムは、IFCによる過去最大の単一契約となる。プログラムによって、IFCは提供資金量を倍化させることができる。これらの資金を、今後6年間にわたって途上国の女性経営者を含む零細・中小企業への金融的支援や、気候変動に取り組む企業に対するファイナンスの拡大に充当し、途上国の経済成長を下支えし、雇用創出、貧困削減等を金融面で後押ししていくとしている。
IFCの 財務・資金動員担当の副総裁兼トレジャラーのジョン・ガンドルフォ氏は「保険は単にリスクを管理するためのものではなく、潜在能力のある人材や新興国の開発を支えることができる。今回の新たなファシリティでは、大手保険会社とわれわれ開発金融機関が協力し、世界中の最も喫緊の開発課題を解決する機会を提供することを目指す」と位置付けている。
新たな「MCPP FIGIII」プログラムが立ち上がることで、IFCのMCPPで調達される資金総額は160億㌦を超えることになる。IFCは、同ファシリティの活用で、現在までに63カ国の途上国の260以上の中小企業等を支援してきた、としている。
東京海上日動は「MCPP FIG Ⅲへの参画を通じて、開発途上国におけるジェンダー平等や気候変動、貧困等の社会課題の解決の促進に貢献していく」と述べている。スイス再保険のパブリック・セクター・ソリューションズ担当のヴェロニカ・スコッティ氏は「開発金融のインパクト拡大には、民間資本の動員はとても重要だが、その実現は容易ではない。その点で、IFCは「MCPP」プログラムを通じて成功裏に進めている」と官民ファイナンスの成果を強調している。
ミュンヘン再保険の金融リスク担当責任者、トーマス・ラリンガー氏も 「3度目のMCPP参加を通じ、世界有数の開発機関との関係強化に取り組んでいる。同プログラムは、両社にとってWin-Winの関係を築くものだ。IFCはミュンヘン再保険の強力なリスク引受能力により、より多くの資金動員が可能となり、ミュンヘン再保険はIFCが保有する新興国市場での優れた融資組成力と信用リスクの管理能力の恩恵を受けることができる」としている。
https://pressroom.ifc.org/all/pages/PressDetail.aspx?ID=27769
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/230922_01.pdf
Research Institute for Environmental Finance