世界の国際金融センターランキング調査。1位ニューヨーク、2位ロンドン、3位シンガポール不変。東京は下げ止まり、1ランクアップの20位。アジアで7位の「中程度のセンター」評価(RIEF)
2023-09-28 23:42:43

世界の国際金融センターの実力を評価する「グローバル金融センターインデックス(GFCI)」の34回目の調査結果が公表された。上位のトップ3は、前回調査(今年3月公表)と同様、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールの順で変わらず。東京は前回の21位から一つランクをあげて「トップ20」に入った。しかし、同20には東京以外のアジア勢が6都市が入っており、東京はアジアでも「中程度の金融センター」の評価である点に変わりはない。
GFCI調査は英コンサルタントのZ/Yenが2007年から年2回の頻度で実施している。調査には中国深圳のChina Development Institute (CDI)がパートナーとして支援している。今回の調査対象となった国際金融都市は世界で132都市。これらの都市のうち、121都市を「グローバル金融センターインデックス(GFCI)」で評価し、スコア化した。
評価手法は、世界銀行やOECD等が公表する147の基本的項目について定量的に評価し、そこに、各地の市場関係者等からのアンケートでの評価を加味して総合スコアをはじく手法だ。評価に参加する市場関係者はグローバルベースで9097 人で、前回の1万人超から約1000人減った。

評価点数は全体で前回比3.63%アップした。1位のニューヨーク、2位ロンドン、3位シンガポールのトップ3をはじめ、7位までは前回と順位は不変。スコアではニューヨークは3㌽のアップ。他の上位都市が軒並み10㌽以上点数を上げた中では、ニューヨークは、上限に張り付いた状況だ。
アジアでトップ都市のシンガポールは3位のままだが、スコアは19㌽のアップで、2位のロンドンとの差を2㌽に詰めた。このままの調子でシンガポールの評価が上昇すると、次回の調査でロンドンと入れ替わる可能性も出てきた。4位の香港もスコアは19㌽アップで、ロンドンとの差は3㌽となっている。
トップ10でみると、米金融市場の好調さから、サンフランシスコ(5位)、ロサンゼルス(6位)、ワシントン(8位)、シカゴ(9位)の各都市が高い評価で、ニューヨークを合わせると、5米都市がランク入りした。トップ10の半分が米都市という形だ。ただ、前回9位だったボストンが今回は17位に後退し、代わりにワシントンが前回の11位から入れ替えで、トップ10入りした。
東京は前回の21位からランクを一つあげて20位。それまでの9位(昨年3月)、16位(昨年9月)から2期連続でランクを下げていたが、今回はようやくランク低下に歯止めをかけた形だ。スコアも17㌽アップした。
東京は、分野別の評価のうち「競争力分野」のうち、「ビジネス環境」「インフラ」「金融セクターの展開」の各項目では15位以下だが、「人的資本」と「評判&その他」の両項目ではいずれも13位と一定の評価を得ている。また金融産業セクター分野では、「銀行」「投資マネジメント」「保険」「フィンテック」等の主要項目は全て15位以下だが、「政府&規制」の項目で6位、「(金融)トレーディング」で12位との評価だ。
金融当局による強い影響力は、金融危機等の際には市場が頼るリスクヘッジ機能を発揮する。しかし、金融市場での自由な展開にはマイナスの影響を及ぼす懸念もある。金融トレーディングでの評価が相対的に高いのは、グローバルな金融取引の輪の一つに入っていることを意味する。
東京の国際金融都市化を進めるには、これらの項目での評価の妥当性を吟味するとともに、ニューヨークやロンドン等での評価の高い項目の改善に力を入れることで、金融センターとしての全体の評価のアップを高める必要がある。
また一定の評価を得ている「評判&その他」の項目では、東京の都市としての魅力の一つである、都市内での自然公園の点在への評価も含まれるとみられるが、現在、社会問題化している神宮外苑再開発や日比谷公園の整備等のように、東京の魅力を東京自身が「破壊」しようとしているとの懸念も海外に発信されている。東京は都市としての自らの価値を改めて見直す必要がありそうだ。
https://www.longfinance.net/publications/long-finance-reports/the-global-financial-centres-index-34/
https://www.longfinance.net/media/documents/GFCI_34_Report_2022.09.28_v1.0.pdf