HOME |国連責任投資原則(PRI) 不活発な署名機関を”追放”する除名手段を導入へ。「PRIへのただ乗り許さじ」。抜き打ち監査も実施へ(RIEF) |

国連責任投資原則(PRI) 不活発な署名機関を”追放”する除名手段を導入へ。「PRIへのただ乗り許さじ」。抜き打ち監査も実施へ(RIEF)

2016-09-06 22:45:14

PRI1キャプチャ

 

  国連責任投資原則(PRI)はシンガポールで開いた年次総会で、現在、1500を超える署名機関を抱えるが、このうちPRIが定める6原則を十分に遵守していない機関を追放する除名手続きを導入すると明言した。署名機関の活動評価のため”抜き打ち監査”の実施する。

 

 PRIの発足10周年となる年次総会は6日から8日までの日程で、シンガポールで開催されている。

 

 PRIはこれまでも毎年、署名機関とは別に、離脱機関についても公表してきた。ただ、これまでPRIから離れる機関はもっぱら署名機関側の経済的な理由や他機関との合併などの固有の事情によるもので、”素行不良”で追放されるケースは極めて少なかった。

 

 しかし、署名機関が1500を超えて、署名のメリットが薄らいできたことや、名前だけの署名機関が増えているとの指摘も出ていた。PRIの原則に沿った厳格な活動をしている機関と、そうでもない機関を見分けるため、署名機関を監査し、「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」などにランク付けする案も出ていた。

 FionaReinoldキャプチャ

 

 PRI事務局長のFiona Reynolds 氏は、こうしたランク付け案は否定したうえで、「署名の上に、単に安住しているだけというのは許されない」と厳命した。現在、資産保有、資産運用の両署名機関は毎年、PRIに対して活動内容を提出することを定めた Reporting & Assessment (R&A) systemをとっているが、その定期報告に加えて、「Random Audits〔抜き打ち監査)」を実施する。

 

 これらの報告、監査によって、PRI原則に沿った活動が観察されないと判断された場合は、2年間の改善期間を置いて、それでもダメな場合は除名(de-list)するという手続きを取り入れる。またESG投資を促進するPRIの精神に抵触するような罰金や規制処罰を受けた場合も、除名対象となる。

 

 「7番目の原則はない」とReynolds 氏は指摘した。「7番目」とは6つの原則で構成されているPRIの「例外」という意味である。また、毎年署名機関が提出するR&Aレポートについても、独立性のある第三者機関による保証を義務付けることや、優秀な署名機関を選ぶ年間賞のアイデアも検討していることも明らかにした。

 

 さらに、責任投資の初期段階にある途上国等の組織等が加盟できるよう「条件付メンバーシップ」の創設も進めるとしている。

 

 PRIの署名機関は、資産保有、資産運用、サービスプロバイダーの3区分から構成される。このうちコンサルや調査・評価機関等が署名するサービスプロバイダーは、その活動についての検証がほとんどされていなかった。ここでも「PRIただ乗り」論があることから、サービスプロバイダーについてもPRI事務局への報告義務を課すこととし、来年から試行、2018年に導入する方針という。

 

 さらに、各署名機関の活動情報については、ESG投資関連だけでなく、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関した活動との統合化を図るとして、そのための作業部会を立ち上げるという。Reynolds 氏は「国連の環境計画(UNEP)やグローバルコンパクトなどとの連携を進めていく」と説明し、PRIと他のグローバルな経済社会的行動との統合化の展望を示した。

https://www.unpri.org/