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欧州投資銀行(EIB) 中国人民銀行(PBoC)などと共同でグリーンボンドの定義の整合性等を図るため、共同イニシアティブ立ち上げ。年末に報告書(RIEF)

2017-03-27 18:50:28

EIBキャプチャ

 

  欧州の欧州投資銀行(EIB)と中国の中央銀行である人民銀行(PBoC)は,グリーンボンドなどのグリーン金融を強化するための共同イニシアティブを立ち上げた。北京で開いた「共同グリーンボンド会議」で明らかにした。グローバル市場でのグリーンボンド発行が増大し、中国モノがその4割を占めるが、市場の健全成長を図るには、グローバル市場と整合性のとれたグリーン投資のフレームワークを強化する必要があるとの判断による。

 

 EIBとPBoCとの連携は、EIBの副頭取のJonathan Taylor氏らが、訪中し、PBoCや中国政府の関係者、中国金融界の代表らと交流に基づいて合意した。Taylor氏は「両銀行はグリーン投資において投資家の信頼を高めることが重要と認識し、グリーン投資を促進するために、これまでの経験を共有することで一致した」と述べている。共同イニシアティブは今年末に報告書を公表する予定。

 

 中国のPBoCは一昨年末、グリーンボンドの国内版ガイドラインを公表、それに基づいて多くの中国の金融機関や企業がグリーンボンドを発行した。昨年1年間だけで362億㌦の発行となり、グローバル市場の39%を一国だけで占めた。

 

 ただ、中国版ガイドラインは、国際的なグリーンボンド原則(GBP)などに比べると、発行者に有利な緩いガイドラインになっている。たとえば、調達資金の使途については、国際基準では少なくとも資金の95%はグリーン事業に充当される「べき」としている。これに対して、中国版では、95%以下でも可能とし、国家発展改革委員会(NDRC)が国有企業向けに発行するガイドラインでは、調達資金の50%までは通常の銀行借り入れの返済への転用を認め、投資先も一般事業も可としている。

 

 日本の環境省が近く発表する予定の「環境省版グリーンボンド・ガイドライン」も、資金使途について厳格な制限を設けず、GBP原則への準拠も自発的なものにするなど、中国版をモデルにした形だ。ただ、中国当局は1年間の自らの経験を踏まえ、国際基準との整合性の重要性を再認識したようで、今回、EIBとのイニシアティブではグリーン金融についての「共通言語化」が最大の課題という。

 

 EUの駐中国大使のHans-Dietmar Schweisgut氏も「発行体の説明責任の改善と、気候変動に配慮した金融システムに移行するによって、グリーン金融の理論を現実化することが、気候変動への挑戦を成功させる道だ」と指摘している。

 

 EIBは中国のグリーン金融委員会(CGFC)とも同様にグリーン金融の改善を図る共同作業を行っていく。CGFCにはPBoCやNDRCなども参画している。PBoC、あるいはCGFCとの協働はいずれも、グリーンボンドの適格性、レポーティングの改革、対象事業の定義、資金使途のマネジメント、外部評価の活用などについて、中国版ガイドラインとGBPなどの国際ガイドラインとの共通言語化を進めるという。

 

 グリーン金融及びグリーンボンドの定義や運用等について、国際基準との整合性を求める声は中国国内でも指摘されていた。国債等の証券保管振替機関である「China Central Depository & Clearing (CCDC)」は今年初め、中国版のグリーンボンドガイドラインの定義を国際基準に近づけるよう要請をしている。

 http://www.eib.org/infocentre/press/releases/all/2017/2017-073-new-peoples-bank-of-china-and-eib-initiative-to-strengthen-green-finance

http://www.eib.org/infocentre/press/releases/all/2017/2017-078-eib-to-highlight-benefits-of-sustainable-investment-to-leaders-of-european-companies-in-china