デンマーク政府は、途上国の人権向上に資するため、国連の持続可能な開発目標(SDGs)と連動した10億㌦の「SDGs投資ファンド」を立ち上げる。政府の2017~2020年の開発支援計画に基づくもので、ファンドには同国の年金基金等の出資も求め、「官民ファンド」に発展させる考えという。
同国は「2017年財政法」で、総額150億1750万デンマーククローネ(約24億1200万㌦)を途上国への開発支援資金として計上している。SDGs投資ファンドは、その一環だ。 開発協力大臣のUlla Tørnæs氏は「10億㌦を2020年までの4年間に、途上国における持続可能で、かつビジネス的にも友好な投資を支援する。これによって、民間資金も動かして、途上国に50億㌦規模の資金供給につなげたい」と語っている。
新たなファンドは、同国の途上国向け公的資金供給機関である「 Investment Fund for Developing Countries: IFU」が運用主体となる。Tørnæs氏は「新ファンドは、途上国には必要な開発資金を供給し、年金等の投資家にはそれなりの投資リターンを確保することで、win-winのポジティブな影響を得ることができる」と強調している。
デンマークの途上国援助の特徴は、経済発展の支援と、人権面での協力を援助戦略の柱に据えている点だ。2017年財政法では、①人権支援と開発協力の連動性によって戦争や紛争の影響を受けた途上国や地域の状況を改善②途上国国籍者の再入国問題を含めた移民対応への集中③民間資本を活用して、途上国の成長と雇用への資金支援額を増やす④男女平等や女性の権利等を改善するため、人権対応に集中するーーの4点を盛り込んでいる。
いずれの基本方針とも、SDGsの改革目標と合致する。また、デンマークの現首相のLars Løkke Rasmussen 氏は、2年前にSDGsワーキンググループのメンバーを務めており、SDGs推進に対する政府の強いバックアップがある。今回のSDGs投資ファンドの設立は、デンマーク政府が推進する途上国支援の「Partnership for Growth : P4G」と呼ぶイニシアティブの一つとなる。