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全米ライフル協会への優遇措置撤廃する米企業が続出。保険大手メットライフ、ファースト・ナショナル銀行、ブラックロック、バンク・オブ・アメリカは銃器メーカーに対応問いかけ(CNN)

2018-02-27 00:35:42

NRA1キャプチャ

 

  ニューヨーク(CNNMoney 米フロリダ州の高校で起きた銃乱射事件をきっかけに、銃規制強化に抵抗する有力ロビー団体、全米ライフル協会(NRA)に対する世論の風当たりが強まっている。

 

写真は、全米ライフル協会の年次総会の様子)

 

 米国では同様の事件が起きるたびに銃規制強化を求める声が強まりながら、NRAの反対に阻まれて、結局何も変わらない状況が繰り返されてきた。しかし今回は様相が変わりつつある。

 

 銃規制推進派は今、銀行やレンタカー会社、航空会社、保険会社といった企業に対し、NRAとの関係を断つよう促している。

 

 これを受けてデルタ航空はNRA会員に対する割引制度を打ち切り、ユナイテッド航空も今後はNRAの年次会合出席者に対する割引料金は適用しないと表明した。

 

NRAの代表、クリス・W・コックス氏
     NRAの代表、クリス・W・コックス氏

 

 全米でレンタカー事業を展開するエンタープライズ・ホールディングスやエイビス・バジェット・グループも、NRAとの提携に基づく割引制度を廃止する。

 

 保険大手のメットライフはNRA会員向けの割引制度を廃止し、ネブラスカ州オマハのファースト・ナショナル銀行は、NRAブランドのビザカード発行を中止すると発表した。

 

 これに対してNRAは24日に発表した声明で、各社の対応に遺憾を表明し、「いずれこうしたブランドは他社に取って代わられる。愛国主義と憲法上の自由に貢献する姿勢こそ、自分たちがサービスを提供する市場の特性であることを理解する企業にその座を譲るだろう」と述べている。

 

 コロンビア・ビジネス・スクールのウィリアム・クレッパー教授はこうした動きについて、現時点でNRAと連携している企業は顧客との関係を危険にさらすことになると述べ、「取締役会や経営者が、経営にとって良くないと判断している」と指摘した。

 

銃を物色するNRAのメンバー
        銃を物色するNRAのメンバー

 

 企業とNRAとの関係が注目される一方で、銃器メーカーも顧客を失いつつある。米資産運用大手ブラックロックは銃器メーカー各社に対し、今回の銃乱射事件に対する反応を知りたいと問いかけた。ブラックロックは、スターム・ルガーやアメリカン・アウトドア・ブランズといった銃器メーカーの筆頭株主。

 

 バンク・オブ・アメリカも銃器メーカーの対応を問うと表明。「非軍事用のアサルト銃を製造する一部の顧客に働きかけ、こうしたメーカーが共有する責任に対してどう貢献できるかを探る」と発表した。

 

 株式市場全体が上昇基調にある中で、アメリカン・アウトドア・ブランズの株価は今回の銃乱射事件以降、8%下落した。銃や弾薬を製造するビスタ・アウトドアは7%下落し、スターム・ルガーもわずかに下落している。

 

 銃器メーカー各社はフロリダ州の銃乱射事件前から、販売不振のため業績が落ち込んでいた。銃規制改革を求める団体の創設者シャノン・ワッツ氏は、政治家に圧力をかけて変革を促す手段として企業に対する働きかけを位置付け、「企業の行動は政治家の考え方に影響を及ぼす」と期待を寄せる。

 

 クレッパー氏は、「政府よりも責任ある対応をしてくれる存在」として、市民が企業に目を向け始めたと指摘している。

https://www.cnn.co.jp/usa/35115279-2.html