金融機能を通じて社会の持続可能性を高めようという活動は、年金等の資産運用にESG要因を加味させる責任投資原則(PRI)や、保険の引き受けに際して、ESGを評価するサステナブル保険原則(PSI)などの国連支援活動が知られる。今回のPRBも、UNEP FIがサポートする形で推進されている。
国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)の「責任ある銀行原則(PRB)」、新たに9銀行と8団体が参加。日本勢、依然、一行も名乗りを上げず(RIEF)
2018-12-19 23:33:38
国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が、国連の持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定達成を目的とする銀行のための行動指針を定めた「責任あるバンキング原則(PRB)」への賛同銀行に新たに9行が名乗りをあげた。これで賛同銀行は37行となり、新規賛同の9行と、金融団体など8機関を合わせた17機関がPRBの支持機関(Endorser)となった。ただ、日本の銀行はまだ1行も手を挙げていない。
PRBは、世界の金融市場での資金供給の3分の2は銀行融資であることを踏まえ、SDGsとパリ協定のそれぞれの目標達成を銀行自体が目的として捉え、グローバル・ベンチマークとなることを目指そうというか活動だ。
こうしたUNEP FIの呼びかけに賛同した世界28の銀行が11月にグローバル・パブリック・コンサルテーションを開始。来年9月のニューヨークでの国連総会で世界中の銀行を結集し、立ち上げ宣言する予定になっている。この賛同の輪に今回、新たに9行が加わったわけだ。http://rief-jp.org/ct6/84920
今回新たに賛同を表明したのは、英国のスタンダード・チャータード銀行、フランスのNatixis、ベルギーのKBC Groupなどのほか、韓国からKB Financial Group、DGB Financial Groupの2銀行、ドイツの環境銀行GLS Bankなど。韓国からは第一陣でハナ金融など2グループが参加しており、4グループ目となる。日本勢の動きの悪さとは対照的だ。
またアフリカのナイジェリアから、Zenith Bank と、Keystone Bankが賛同、第一陣の アクセス銀行と合わせて、ナイジェリアも3行が加わった。このほか新たにアイスランドのLandsbankinも加わった。
これらの個別銀行のほか、欧州銀行協会(EBF)、欧州協同組織金融機関連盟(EACB)、オランダ銀行協会(DBA)など8つの金融組織がステークホルダーとして賛同の輪に入った。そのうえで、新規賛同の17機関はそろって初の支持機関(Endorser)となった。
UNEP FIの代表、Eric Usher氏は「PRBはすでに、多くの銀行によって支援されている。気候変動に対応する緊急の活動や、その他の多くの社会・環境課題の挑戦に対応するための必要性についての理解が広がっている」と手応えを語っている。