HOME |ASEAN諸国のグリーンインフラ建設促進のため、アジア開発銀行や欧州投資銀行等が共同で新たな「グリーンファイナンスファシリティ』立ち上げ。10億㌦規模。民間資金の誘導を目指す(RIEF) |

ASEAN諸国のグリーンインフラ建設促進のため、アジア開発銀行や欧州投資銀行等が共同で新たな「グリーンファイナンスファシリティ』立ち上げ。10億㌦規模。民間資金の誘導を目指す(RIEF)

2019-04-04 22:13:11

ACGFFの設立を宣言したASEAN各国代表とADB総裁ら

 

 アジア開発銀行(ADB)と東南アジア(ASEAN)各国政府は4日、ASEAN地域でグリーンインフラストラクチャーへの投資を促進するために10億㌦(約1100億円)規模の「ASEAN Catalytic Green Finance Facility(ACGFF)」の設立を宣言した。同ファシリティは、ASEAN各国が国ベースで推進する整備するグリーン輸送やクリーンエネルギー開発、上下水道設備等へのファイナンスと必要な技術支援を提供するもので、民間資金誘導の基盤整備を目指す。

 

 グリーンファイナンスのASEAN版PPP(官民協力パートナーシップ)ともいえるACGFFの設立は、タイの チェンライで開いた会合で宣言された。ACGFFは複数の資金をベースに運用される。ASEANインフラファンド(AIF)から7500万㌦、ADBから3億㌦。ドイツのKfW(復興金融公庫)からも3億㌦、欧州投資銀行(EIB)と、フランスの開発銀行(Agence Française de Développement)からそれぞれ1億5000万㌦などだ。

 

 またOECD(経済開発協力機構)と国際機関のGlobal Green Growh Institute(GGGI)は、グリーンファイナンスについての知識提供とキャパシティビルディングを提供する。さらに米国のThe Overseas Private Investment Corporation (OPIC)は途上国事業のためのシード資金の供給等を目指す。

 

 これらの公的資金や公的支援をベースにして、民間資本と技術を呼び込み、ASEAN地域全体のインフラのグリーン化の促進を目指す。創設されるACGFFは、これまでASEAN諸国政府とADBによって推進されてきたAIFの「Green and Inclusive Infrastructure Window」の一部として運営される。AIBはこれまで「同Window」に基づいて、エネルギー分野をはじめ、輸送、水資源、都市インフラ等のプロジェクトに総額5億2000万㌦を投じてきた。

 

 またAIFは、新たなACGFFの立ち上げとともに、域内で特に社会インフラが脆弱なカンボジアとラオス、ミャンマーの3カ国を対象として、重要インフラ建設整備のために、優遇金利で資金を貸し付ける「Inclusive Finance Facility」も立ち上げた。いずれもパリ協定に沿ったASEAN諸国の国別約束計画を促進するための先進諸国からの資金支援政策の一環となる。

 

 中尾武彦ADB総裁は、「ADBはACGFFを通じてASEAN諸国が取り組むグリーンで気候変動対策に貢献し、大気や水質の改善つながり、さらに地域全体の環境の質の低下を防ぐインフラ計画を支援していく」と語った。また主催国の立場で、タイの財務相のApisak Tantivorawong 氏も「2019年のASEANの議長国として、タイはサステナブル(持続可能)でインクルーシブ(包摂的)な金融協力を促進する」と述べた。

 

 これらの公的ファシリティが有効に機能するためには、PPPとして民間資金をどれだけ誘導できるかにかかっている。対象となるASEAN各国のグリーンインフラ事業のグリーン性とともに、収益性をどれだけ高めることができるかだ。

https://www.adb.org/news/new-facility-mobilize-1-billion-asean-green-infrastructure?utm_source=news&utm_medium=email&utm_campaign=alerts