HOME |ノルウェー最大年金のKLP。アルコール・ギャンブル企業の保有株・債券の売却完了。日本企業も6社。「人々をアルコール・ギャンブル漬けにする投資は社会の持続可能性に反する」(RIEF) |

ノルウェー最大年金のKLP。アルコール・ギャンブル企業の保有株・債券の売却完了。日本企業も6社。「人々をアルコール・ギャンブル漬けにする投資は社会の持続可能性に反する」(RIEF)

2019-08-25 13:35:44

KLP2キャプチャ

 

  ノルウェー最大の年金基金のKLPは、日本企業を含むアルコール関連企業とギャンブル関連企業90社を投資対象から完全に除外した、と公表した。石炭関連企業については売り上げに占める石炭関連収入比率を、従来の30%から5%に引き下げる一方、新規の再エネ企業向け投資を8億7000万ノルウェークローナ(約102億円)増やした。

 

 KLPのCEO、Sverre Thornes氏は「われわれが年金受給者から預かったお金を、激烈な気候変動の緩和を含め、年金受給者と社会に貢献する方法で運用していることは、われわれにとって重要だ」と述べている。

 

 KLPは5月に、アルコール・ギャンブル関連企業の投資対象からの除外することを宣言していた。対象企業には、アルコール事業でキリンビール等、ギャンブル事業でよみうりランド等、合計6社の日本企業が含まれている。https://rief-jp.org/ct6/90364

 

年金運用は未来を育てる運用を
年金運用は未来を育てる運用を

 

 除外企業のうち日本企業は、アルコール事業分野で、キリンホールディングス、アサヒグループホールディングス、サッポロホールディングスのビール3企業と、宝ホールディングスの4社。いずれもアルコール事業が収入の50~100%を占める。

 

 ギャンブル事業部門では、よみうりランドのほか、大井競馬場等を運営している東京都競馬会社の2社の株等を売却した。東京都競馬はギャンブル専業。よみうりランドは遊園地の経営のほか、船橋競馬場、川崎競馬場等を運営しており、収入に占めるギャンブル事業の比率は10~24.9%とされる。

 

 KLPはこれまでに、投資除外業種として、タバコ会社、一定の兵器製造メーカー、石炭鉱山、同関連事業を設定している。今回売却したギャンブル・アルコール関連約90社分の株、債券の時価保有額は総額3億2000万㌦(約350億円)だった。

 

 KLPは運用資産額が800億㌦(約8兆8000億円)のノルウェー最大の年金基金。両業種からの収入が5%以上ある企業が投資除外の対象となる。今年上半期(1~6月期)の運用リターンは、前年同期比4.8%増で、予定利回りを大きく上回った。

 

 KLPは「人々をギャンブルやアルコール漬けにして健康や生活を害する製品等への投資で資金の運用をしたいとは思わない。年金資金は、社会への持続可能な貢献をすることで、より良い活動ができる」と指摘している。

 

 新たに公営ギャンブルを拡大するIR法(統合型リゾート法)を成立させ、カジノ産業の誘致合戦が始まった日本。KLPが日本の国債、あるいはカジノ誘致自治体の地方債を、投資引き揚げ対象にする可能性もある。

 

https://www.klp.no/