中国の4大保険会社の一つである中国平安保険等を傘下に抱える中国平安(Ping An)は、国連支援の責任投資原則(PRI)に署名した。中国の資産保有機関がPRIに署名したのは、同社が初めて。
中国平安は、深圳市に本拠を置き、保険・銀行・投資関連の金融商品及びサービスの全機能を提供できる有数の金融グループである。総資産額は7兆1000億人民元(約1兆㌦)を超えている。
グループには、保険会社の中国平安人寿保険株式有限公司(平安人寿)、銀行系の平安銀行株式有限公司(平安銀行)、投資会社系の平安信託投資有限責任公司(平安信託)、証券系の平安証券株式有限公司(平安証券)、アセットマネジメント系の平安大華基金株式有限公司(大華基金)などの子会社が含まれている。
これまで、PRIへの中国企業の署名は、運用資産総額が4280億㌦(約45兆円)を抱える「China Life Asset Management Company」をはじめとする資産運用会社が21機関、サービスプロバイダーが10機関だった。平安保険の署名で中国の署名総数は32機関となった。日本の署名機関数は74機関となっている。
中国平安は、今回の署名によって「中国の金融界での責任投資のベンチマーク役を果たしたい」と意気込んでいるという。
PRIのCEO、Fiona Reynolds氏は「資産保有機関は投資チェーンにおいてもっともパワフルな影響力を持っている。中国平安に対しては、今後、他の中国企業が投資戦略にESG要因を盛り込むことを促進するリーダーシップを発揮することを期待している」と述べている。
中国の証券規制委員会等の金融当局は、環境汚染物質を大量排出している上場企業に対して、自主的な情報開示を求めている。2020年には情報開示を規制に切り替える方針という。投資対象企業のESG情報開示の促進と、投資機関の選別強化によって、中国企業・産業のESG改善を促したい考えのようだ。