欧州復興開発銀行(EBRD)、世界初の「気候レジリエンスボンド」7億㌦を発行。CBIが設定した「気候レジリエンス原則(CRP)」の適合第一号に(RIEF)
2019-09-30 08:18:14
欧州復興開発銀行(EBRD)は、気候変動の激化に適応するインフラ機能等の強靭化のためのファイナンス資金を調達するため、初の「気候レジリエンスボンド(Climate Resilience Bond:CRB)」を7億㌦(約750億円)発行した。ボンドの資金使途プロジェクトはClimate Bonds Initiative(CBI)が新たに公表したClimate Resilience Principles(CRP)に準じている。
(写真は、英ロンドンにあるEBRDの本部)
世界初の気候レジリエンスボンドは期間4年。クーポンレートは1.625%、利回りは1.737%。米5年物財務省証券より9.2 basis points上乗せの水準。
ボンド発行による調達資金の使途は、①気候変動への適応力を高めるインフラ(水資源、エネルギー、輸送、コミュニケーション、都市インフラ等)②気候レジリエンス・ビジネスと商業的オペレーション③気候レジリエントな農業と生態系システム、としている。
EBRDは、これらの3分野の新規および既存事業に対してファイナンスする。主幹事は、BNP Paribas、 Goldman Sachs、Skandinaviska Enskilda Banken ABの3行が担当し、15カ国から約40の機関投資家が投資表明したという。
今回の初の「気候レジリエンスボンド」は国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)の4原則に準拠するとともに、資金使途についてはCBIが新たに開発したClimate Resilience Principles(CRP)に適応する第一号案件になった。http://rief-jp.org/ct6/94196?ctid=69
EBRDの気候レジリエンス投資責任者のCraig Davies氏は「グリーンボンドや気候ボンドの一つの発展形として、次の分野への展開がすでに動き出している。われわれは気候レジリエントへの移行のために、新たな資本を投じる必要がある」と述べている。
EBRDは現在、総額70億㌦の気候レジリエント事業へ投融資をしている。たとえば、タジキスタンのQairokkum水力発電所の増強事業や、モロッコのSaiss貯水池事業等が含まれている。