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日本政策投資銀行、英「Bridges Fund Management」組成のソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)に出資。SIBの内外での展開、ノウハウ吸収を目指す(RIEF)

2019-11-25 08:15:36

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 日本政策投資銀行(DBJ)は、英Bridges Fund Management Limitedが組成するソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)を対象としたファンドへ出資する。出資額は公表していない。海外のSIBに出資する事例は日本の金融機関では初めてとしている。

 

 Bridgesは2002年の設立で、経済的リターンと社会的インパクト創出の両立を目指す「社会的インパクト投資」に特化した英国最大のファンド運用会社。今回、DBJは、Bridgesが運営するSIB向けのファンド「Bridges Social Outcomes Fund II」に出資するとともに業務協力合意書を結んだ。DBJは「戦略的パートナーシップ関係を構築する」と説明している。

 

 「Social outcomes Fund Ⅱ」は総額3500万ポンド(約49億円)。DBJ以外に、英国の独立社会的投資機関のBig Society Capitalや インパクト投資の Project Snowball、慈善財団のGuy’s and St. Thomas’ Charity、Trust for London、Prince of Wales’s Charitable Fundなどが出資した。

 

 2012に設立した「Social outcomes Fund Ⅰ」は、世界中の30以上の社会的プロジェクトに投資、総額3000万ポンドを上回った。子供に対するファミリーセラピーや、長期的な健康管理、若者のホームレス化を防ぐ活動、身障者の子ども支援等の社会的事業に投じられた。結果として、1億5000万ポンド以上の価値を生み出した、と評価されている。

 

 DBJはBridgesとの連携で、「欧州および日本における社会課題解決に向けた取り組みを金融面でサポートしていく」と述べている。

 

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 SIBは英国発祥の社会的投資をいう。事業者が社会的問題に対する予防的プログラムを実施、投資家はその事業者に対し事業資金を提供し、プログラムの効果で社会的事業が軌道に乗ると、その成果に応じて自治体が資金提供者に成果報酬を支払う仕組みが一般的だ。

 

 社会問題解決を図るための官民連携の仕組みであり、英国では、SIBを活用して、再犯防止プログラム、将来的な医療費削減に向けた成人の生活習慣改善、ニートの若者へのメンタルケア・就労支援、ホームレスへの就労支援などの社会問題の解決と、将来発生する行政コストの削減を目的とした予防的プログラムとファイナンスを組み合わせた取り組みを進めてきた。

 

 日本でも、国や自治体の社会保障費負担の軽減を目指して、健康・医療分野を中心にSIBを活用した社会事業の効率化が目指されている。今年度に閣議決定された「成長戦略実行計画2019」でも普及促進の対象になっている。

 

 「2019」では、SIBを含む成果連動型委託契約について、内閣府を中心に、成果指標、評価方法、支払条件等に関するガイドラインの整備手順、成果指標評価の前提となるエビデンス構築等を進める方針が示されている。

 

 DBJは、今回の「Social outcomes Fund Ⅱ」への出資を通じて、Bridgesの社会的ファイナンスを内外で展開するノウハウを吸収する期待もあるようだ。 BridgesはSIBやインパクト投資に対して、資金の提供だけでなく、案件の組成サポートや、成果指標達成に向けたプロジェクト・マネジメントを主導的に担っている。

 

https://www.bridgesfundmanagement.com/bridges-closes-second-social-outcomes-fund-at-extended-hard-cap-of-35m/

https://www.dbj.jp/ja/topics/dbj_news/2019/html/20191120_79719.html

https://www.bridgesfundmanagement.com/