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欧州投資銀行(EIB)、EUのサステナビリティ・タクソノミーに準拠する初のグリーンボンド(気候ボンド)発行。カナダドル建て5億㌦。カナダとのサステナブルファイナンス連携強化も(RIEF)

2020-01-14 08:21:18

EIB11キャプチャ

 

 欧州投資銀行(EIB)は、EUが開発中のサステナビリティ・タクソノミー(EUST)に準拠した初のグリーンボンド(Climate Awareness Bond:CAB)を発行した。カナダドル建て5億㌦(CAD)、期間5年。資金使途は、市場基準のグリーンボンド原則(GBP)とともに、EUのサステナブルファイナンス・フレームワークに基づき、再エネ投資等の気候変動回避策に充当される。

 

 EUタクソノミーは現在、EU内で規則制定で合意しているが、個々のタクソノミーの選定作業は現在進行形中。気候変動関連を整理している技術専門家グループ(TEG)の最終案は2月中に公表される予定。その後、2021年末までにEU内で正式決定する手順。EIB自体、そのための作業に参画している。

 

 このため、今回のCABでの調達資金の使途については、タクソノミーの整備状況に応じて段階的に充当していく方針という。発行されたボンドはルクセンブルグ証券取引所に上場された。

 

 初のEUST準拠CABは、償還期限2025年1月22日、ミッドスワップレート+1bpsの条件。カナダ国債+36.15bps。主幹事は、BMO Capital Markets、 CIBC CM、 RBC CM、Scotiabankの4金融機関。

 

 発行額に対して応募は5億9000万㌦。投資家の過半(54%)がカナダの機関投資家等だが、日本からも6%の投資があった。今回のEUST準拠グリーンボンドを含めて、EIBによるカナダドル建てCABの発行額は22億㌦となる。

 

 カナダ㌦建ての発行は、EIBのグローバル戦略に基づく。同時に、昨年10月に欧州委員会が立ち上げたサステナブルファイナンス促進のための国際協力イニシアティブの「International Platform of Sustainable Finance(IPSF)」にカナダも創設メンバーとして加盟している。カナダ自体、同国のサステナビリティ・タクソノミーを開発しており、サステナブルファイナンスでのEU・カナダ協力関係を踏まえた側面もある。

 

 EIBの資本市場担当責任者のEila Kreivi氏は「われわれは、サステナビリティの定義づけを明確にすることで、効果的な投資決定の条件を整備していきたい。われわれがそのフレームワークを策定するEUの政策を強く支援しているのはそのためだ」と述べ、今回のEUST準拠のCABが、タクソノミーの正当性を立証するモデル発行としての位置づけを示した。

 

 同ボンドはEUのニーズに沿うとともに、カナダのグリーンボンド市場づくりにも適合する。カナダでは2025年までにグリーン&サステナブルボンドの市場規模を国内債券市場の少なくとも5%に拡大する方針を目指している。主幹事のScotia Bankの財務担当のMike Field氏は「今回のEIBのCABはこの方針に完全にフィットしたグリーン・ポートフォリオだ」と歓迎している。

 

https://www.eib.org/en/investor_relations/press/2020/fi-2020-04-eib-cad-cab-500m.htm