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熱帯林破壊と人権侵害に最も影響力のある主要企業・銀行評価で、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ、花王、日清食品が「不可」の最下位ランク。環境NGOの評価(RIEF)

2021-04-28 14:04:39

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 環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(米国:RAN)は27日、熱帯林破壊と人権侵害を助長している最も影響力のあるグローバルな消費財企業と銀行17社を対象にした分析の結果、「もっとも取り組みが遅れている『不可』の企業」として、日本の三菱FJフィナンシャル・グループ(MUFG)のほか、日清食品、花王を選んだ。

 

 報告書「キープ・フォレスト・スタンディング:森林&人権方針ランキング2021」で公表した。報告書は、熱帯林破壊と人権侵害の助長に最も影響力があるとされるグローバルな消費財企業と銀行、17社を選び、各社の方針と実施計画を森林と人権の二分野で10項目を20点満点で評価した。

 

 評価項目は①「森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止」(NDPE)の採用②「森林フットプリント」の開示③「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)原則」の実施④暴力や脅迫への「ゼロトレランス」(不容認)方針の有無、等の10項目。

 対象企業は、「消費財企業(10社)」が、日清食品、花王、ネスレ、ペプシコ、プロクター&ギャンブル、ユニリーバ、コルゲート・パーモリーブ、フェレロ、モンデリーズ、マース。「銀行(7社)」が、MUFG、JPモルガン・チェース、中国工商銀行(ICBC)、DBS、バンクネガラインドネシア(BNI)、CIMB、ABNアムロ。

 各社の方針や活動が、これらの項目に照らして、「満たしている(2)」、「一部ある(1)」、「ない(0)」の3段階で評価し、総合点でAから「不可」まで5段階評価を付した。その結果、自社サプライチェーンおよび投融資で森林破壊と人権侵害を止めるために適切な措置を講じている「A」評価の企業と銀行は一社もなかった。


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 最も高い評価だったのは、ユニリーバの「C」。次いで「D」評価が、消費財企業で、マースとネスレ、ペプシコの3社、銀行ではABNアムロとDBSの2行。それ以外は日本の3社を含めて、最低ランクの「不可」だった。

 

  日本企業3社は、①のNDPE方針を限定的ながら採用しているが、森林フットプリント開示、FPIC原則の実施、ゼロトレランス方針の有無、NDPE方針遵守の証明では得点がなく、総合点はMUFGの4点が最高で、花王は3点、日清食品は2点。いずれも「不可」のランクだった。

 RAN日本代表の川上豊幸氏は「日清食品、花王、三菱UFJはいずれも低評価だったのは残念です。3社ともベストプラクティスであるNDPEを方針に採用したことは評価できる。しかし同時に、自社のサプライチェーンや投融資先で起きている人権侵害を止めるための方針策定が急務」と指摘している。

  評価対象となった企業や銀行の多くは、「森林破壊禁止」と先住民族の権利および人権尊重の達成のために、国連の持続可能な開発目標(SDGs 15.2:2020年までに森林減少阻止)への賛同や様々なコミットメントを表明し自社方針を策定している。しかし、インドネシアの熱帯林をはじめ世界中の熱帯林では、パーム油や紙パルプ、牛肉、大豆、カカオ、木材製品などの産品のための、皆伐や、焼き払い活動に歯止めがかかっていない。

 評価手法の詳細は英語版「 Keep Forests Standing: Evaluating Brands and Banks Driving Deforestation and Human Rights Abuses」

 

 評価項目のNDPEは、「No Deforestation、No Peat、No Exploitation」の略。森林減少や劣化に対しての保護(炭素貯留力の高い(High Carbon Stock:HSC(森林の保護、保護価値の高い(HCV: High Conservation Value)地域の保護)、泥炭地の保護(深さを問わず)、人権尊重、火入れの禁止といった要素を含む方針を公表している企業は「あり」の評価を得る。

 

 「森林フットプリント」は、森林を犠牲にして生産される「森林リスク産品」の消費財企業の利用や、銀行による資金提供によって影響を与えた森林と泥炭地の総面積をいう(影響を与える可能性がある面積も含む)。

 

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