HOME |2020年中に殺害された環境活動家は過去最高の227人。途上国に集中。最多は南米コロンビアの65人。コロナ禍が殺害増大にも影響の可能性。人権NGO「Global Witness」が報告(RIEF) |

2020年中に殺害された環境活動家は過去最高の227人。途上国に集中。最多は南米コロンビアの65人。コロナ禍が殺害増大にも影響の可能性。人権NGO「Global Witness」が報告(RIEF)

2021-09-13 12:55:02

Globalwitness001キャプチャ

  環境破壊や森林違法伐採等に抗議して殺された環境活動家が、2020年には前年より15人増え、過去最高の227人に達した。新型コロナウイルス感染拡大の影響も受けて、途上国での森林伐採や環境・河川汚染等に抗議する住民らが、開発業者らによって殺害されるケースが多発しているという。国別では南米コロンビアでの殺人が65人で、2位のメキシコ(30人)の倍以上となった。国際人権団体Global Witnessが公表した。

   調査結果によると、2015年のパリ協定締結以来、毎週平均4人が犠牲になっているという。報告書は「気候変動の悪化により、地球の各地で森林火災が猛威を奮い、干害が農地を破壊し、洪水が何千という人の命を奪っている。地球を守る最前線のコミュニティや人々の状況が悪化している」と指摘している。

 環境を守る活動で昨年中に殺害された227人の人々は、すべて欧米、オセアニア以外の途上国の住民たち。気候変動の影響と同様に、環境関連の紛争は、先進国企業等からの影響を受ける低所得国に集中して起きている。特に現地で暮らす先住民コミュニティが受ける影響が大きい。先住民の人口は世界全体の5%なのに、殺害された人の3分の1は先住民。

 コミュニティとリンクした自然環境を守ろうと立ち上がる人々が、開発事業者等との紛争で殺害されるケースは、年々増加している。20年の数字は2013年の水準のほぼ倍だ。しかし、報告書によると、公表数字は明確に殺害されたとわかるデータに限定されており、国によって報道の自由や、市民の権利、情報の透明性等は異なることから、実際の被害はもっと多いと推測している。

開発計画に市民参加の国際協定調印を求める活動家(メキシコで)
開発計画に市民参加の国際協定調印を求める活動家(メキシコで)

 国別では、南米のコロンビアが65人と断トツで多い。同国は2016年に政府と反政府のコロンビア革命軍の間で和平がもたらされた。その後、国内の資源開発等が加速し、各地で住民たちとの紛争が激化している。犠牲者には、絶滅危惧種の黄色い耳を持つインコの保護活動をしていたが犯罪集団に殺害された生態系学者のGonzalo Cardona氏や、自然公園管理を担当していた森林レンジャーのYamid Alonso Silva氏らがいる。

 殺害者数第2位のメキシコの犠牲者の中には、コミュニティの水源の流れが、豊かな農地やビール工場の用途のために変更されたことに抗議した先住民のÓscar Eyraud Adams氏がいる。同氏は自宅で襲われた。第3位はフィリピンの29人。アジアで最も殺害の多い国となった。昨年12月30日には、大規模ダム計画に反対した先住民ら9人が、軍と警察の攻撃を受けて「大量虐殺」される事件が起きている。

殺された人の国別の分布
殺された人の国別の分布

 ブラジルは第4位。同国での殺害者数はここ数年、減少傾向にある。ボルサナロ大統領によるアマゾン開発を巡る森林火災や紛争が国際的に注目されていることから、開発事業者らが激しい攻撃を抑えている可能性がある。しかし、開発現場各地での住民たちとの衝突件数自体は増えているという。

 またコロナ禍の影響で、いくつかの国では、住民たちの抗議行動が外出規制によって抑制される一方で、開発事業は継続されるという事態が生じているという。コロナ禍に乗じた抗議弾圧は、アマゾンやフィリピン等でみられると指摘している。報告では、158カ国で、パンデミックを理由に抗議行動の新たな制限措置が導入されたという。

 さらに外出を禁じるロックダウンの実施は、殺人者がターゲットとなる環境活動家の所在を把握し易くなり、結果的に殺害増大につながったとも指摘している。Global Witnessの調査では、20年の殺害者のうち少なくとも30%は、森林伐採、鉱山開発、ダム建設等の資源開発とリンクした紛争により、攻撃を受けたとされる。ただそれ以外の100以上のケースでは、原因が明確ではないという。

 住民による抗議行動の成功事例も紹介している。アフリカのジンバブエでは、ジンバブエ環境法協会と保護団体が、中国企業が国立公園内で計画していた石炭開発計画を中止に追い込んだ。米国とカナダの活動家は、北極圏でのタールサンド開発を遅らせ、銀行団に融資停止の圧力をかけることに成功した。南アフリカでは、環境保護団体が提訴した石炭火力発電所計画の承認取り消しを、裁判所が認めた。

https://www.globalwitness.org/en/campaigns/environmental-activists/last-line-defence/