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環境・人権NGO、国連「持続可能な環境に対する人権決議」への、理事国日本の棄権を強く批判。反対票ゼロ。棄権は日本のほか、中国、ロシア、インドの「人権課題国」のみ(RIEF)

2021-10-19 16:46:25

UNキャプチャ

 

 環境・人権問題のNGOは18日、国連人権理事会が今月8日に行った、安全、清潔、健康的で持続可能な環境に対する人権決議に対して、日本が棄権したことを受け、日本政府に対して、決議に沿って東京電力福島第一原発事故等の国内での環境問題をはじめ、地球規模の課題である気候変動問題への取り組みを強化するよう共同で要請した。日本政府の対応は、日本企業の人権対応への疑念を喚起することにつながる。

 

 (写真は、ジュネーブの国連人権理事会)

 

 共同要請を行ったのは、人権NPOのヒューマンライツ・ナウ、環境NPOの気候ネットワーク(KIKO)。環境NPOのグリーンピースジャパンが賛同した。

 

 人権理事会の決議は、「安全、清潔、健康的で持続可能な環境への権利を人権として認め」、他の人権の享受との関連性と重要性を認識した上で、各国の憲法や国内法、地域の人権条約ですでに広く認められているこの権利を保護するために、自国の能力、国際協力、ベストプラクティス、そして政策を構築することを各国へ求める内容。

 

 決議案は賛成43票、反対0票、棄権4票(中国、インド、ロシア、日本)で可決した。ヒューマンライツ・ナウとKIKOは、「決議は健全な自然環境への権利を国際的に承認するもの」と歓迎する一方で、理事国の日本政府が決議に棄権したことを批判している。「現代の大きな課題の1つである気候変動問題に立ち向かうべく国際社会が団結しようとするこの歴史的な瞬間において、国際社会においてリーダーシップをとらなかったことには深い失望を禁じ得ない」とした。

 

 決議書の序文では、今日の世界が取り組むべき最も重要な事項として、持続可能な発展のほか、生命、健康、食料、住居、水資源、文化などを含む重大な人権を守る上で重要な役割を果たす自然環境、気候変動、その他の環境危機等が、すべての人権の享受に影響を及ぼすとしている。

 

 さらに、先住民、高齢者、障がい者、女性、少女など、環境被害に対してとりわけ脆弱な立場にある人々のニーズ、正確で適切な情報を得る公共の権利、政府の環境に関する意思決定に実効的に参加する権利、実効性のある救済措置を受ける権利も示されている。権利の面からだけでなく義務の面でも環境問題に取り組む際に、人権を尊重する義務や環境問題あるいは環境活動家に対して人権を尊重する企業の責任も含めている。

 

 ヒューマンライツ・ナウとKIKOは、「これらの権利や義務は、既に国際人権法上、認知された確たる権利及び義務であり、日本政府は、国際人権基準に則り、これらの事項について、課題解決に向けた積極的なリーダーシップをとり貢献すべき」と指摘。特に福島原発事故時に日本政府は、健康に対する市民の権利を適切に保護することなく、災害に関する正確で適切な情報の提供をしなかったことで厳しく 批判を受けている、とした。

 

 近代史上、最悪の環境災害の処理を著しく誤ったことで、日本政府は、「原発事故の一因となり、原子力産業の再開の努力に際してもつきまとっている、隠蔽と否定の文化」を対外的に示した、と強く批判している。

 

 両NGOは、日本政府に対して、今回の国連決議を踏まえて、福島第一原発事故をはじめとした国内の問題のほか、地球規模の課題である気候変動問題等の国際課題についても、圧倒的多数で採択された本決議を推進するために理事国として積極的な役割を果たすよう求めた。

https://undocs.org/a/hrc/48/l.23/rev.1

https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/Pages/NewsDetail.aspx?LangID=E&NewsID=27634

https://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2021/10/20211018UNHRenvironment.pdf